2019 Fiscal Year Research-status Report
院内感染対策を目的とする薬剤耐性菌の抗菌薬耐性機構の解析
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17K09021
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
福地 邦彦 昭和大学, 保健医療学部, 教授 (70181287)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | MRSA / CRE / MBL / パルスフィールド電気泳動 / POT法 / erm41 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は以下3点について重点的に研究を実施した。 2018年3月から2019年4月までに同一病棟で分離されたMRSAの解析を1)~4)について行った。1) 抗菌薬感受性検査結果のパターンとパルスフィールド電気泳動(PFGE)を組み合わせた院内疫学解析。 2)SCCmec解析によるHospital acquired MRSA(HA-MRSA)とCommunity acquired MRSA (CA-MRSA)の型別。 3) MLST解析による世界流行株の上での位置づけ。4) PCR based ORF typing(POT)法の導入。MRSAはおよそ50株(患者重複なし)が分離され、PFGEと感受性パターンの結果から15バターンに分類された。SCCmec解析の結果、2系統はSCCmecIIのHA-MRSA型で、これ以外はSCCmecIVのCA-MRSA型に分類された。MLST解析の結果8系統CC8、4系統がCC5であり、世界中で高頻度に分離される型で大半を占めた。POT法の結果とPEGEによる型別の比較では、PFGEで類縁とされた3系統が同一POTであったが、一方PFGEで類縁とした2株で異なるPOTであった。このことは、PFGEとPOTの識別能に差があることを示す。院内感染経路を正確にたどるためには、この2種の分子疫学手法の導入が望ましい。 2019年7月には同一病棟で13症例からカルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)が分離された。これらの多くはEnterobacter cloacaeであり、そのほかに2株のKlebsiella pneumoniae と1株のCitrobacter freundiiが検出された。すべてIMP型のメタロベータラクタマーゼ保有であった。2症例ではE. cloacaeとK.pneumoniae, 1症例ではE.cloacaeとC.freundiiが検出された。これらでは異なる菌種において耐性遺伝子が伝播している可能性も否定できず、耐性遺伝子伝播の可能性について解析を次の課題の一つとする。 非結核性抗酸菌Mycobacterium abscessus complexのerm(41) gene領域の塩基配列解析を行い、本菌種のクラリスロマイシン感受性との関連を解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的の一つが、院内でのアウトブレイクに即応して分子疫学解析を実施し、対策のための基礎データを臨床にフィードバックすることにある。この点については、十分に責務を果たした。また、解析の積み重ねにより、抗菌薬耐性菌の伝播してきた経路の解析や、耐性遺伝子の進化を推測することが可能となる。これまでに本課題に関連する研究を10年以上継続してきており、MRSAのSCCmec型の推移、MBLの種類の推移などを追跡することが可能となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
我々の施設で10年間継続してきた外来患者から分離されたMRSA中のPanton Valentine Leukocidin (PVL)保有株の分離頻度と、PVL保有株のSCC mec解析を実施する。PVL保有MRSAは欧米ではCA-MRSAの多くを占めるとされているが、我が国では低比率であるとされる。10年の推移から伝播状況を推測する。 多剤耐性Acinetobacter sp.(MDRA)のアウトブレイクが散発している。2010年以降に分離されたAcinetobacter属のすべてについて、OXA51遺伝子の有無によりA.baumanniiか否か、カルバペネム耐性の場合は耐性機構についてMBLなのかOXA21あるいはそれ以外かを明らかにする。これまでの検討で、カルバペネム耐性A.baumanniiにおいてNDM-1を検出しており、我が国で比較的稀な遺伝子の関与も想定される。これらを通じて、この期間でのAcinetobacter属の耐性化状況を解析する。
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Causes of Carryover |
実験に使用する試薬類が高価であるため、希釈して使えるものは希釈し、反応量を減らせるものは減らし、また、単回使用の実験材料についても、洗浄・滅菌をして再利用するなど節約に努めた。残額分は、2020年度に試薬、実験器具など消耗品購入に充てる予定である。
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Research Products
(2 results)