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2020 Fiscal Year Research-status Report

院内感染対策を目的とする薬剤耐性菌の抗菌薬耐性機構の解析

Research Project

Project/Area Number 17K09021
Research InstitutionShowa University

Principal Investigator

福地 邦彦  昭和大学, 保健医療学部, 教授 (70181287)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2022-03-31
Keywordsカルバペネマーゼ遺伝子 / ESBL遺伝子 / 腸内細菌科細菌 / Acinetobacter属
Outline of Annual Research Achievements

1)カルバペネム非感受性株の耐性遺伝子解析、それらのプラスミド解析を実施した。臨床検査現場では、カルバペネム非感受性株には、MCIM法でカルバペネマーゼ産生、SMA法でメタロβラクタマーゼ産生を評価し、CPE (Carbapenemase producing Enterobacteriaceae)との判定・報告の根拠とした。カルバペネマーゼ遺伝子は、IMP1, IMP7, KPC1, NDM1, OXA48をPCRにより検出を試みた。MCIM陰性、SMA陰性株からは上記遺伝子は検出されなかった。MCIM陽性株のすべてがSMA陽性であり、それらからはIMP1またはIMP7遺伝子の保有が明らかとなった。KPC1, NDM1, OXA48遺伝子は検出されなかった。当院では、10年前よりIMP1保有のEnterobacter cloacae, Klebsiella pneumoniae, Klebsiella oxytocaが断続的に検出されており、その間にIMP1陽性のE. cloacaeが分離された患者から、一定期間の後にIMP1陽性のCitrobacter freundiiが分離された例、IMP1保有E. cloacaeが分離された患者からその後にIMP1保有K. pneumoniaeが分離された例を認めたため、遺伝子の水平伝播の可能性を検討した。
2) 小児尿路感染症由来の第3世代セファロスポリン耐性大腸菌のESBL遺伝子の同定と感受性パターンとの関連を検討した。ESBL遺伝子として、CTX-M type geneが分離された。塩基配列決定の結果、CTX-M3 LikeとCTX-M14Likeであることが明らかとなった。
3) 8年前から分離されたAcinetobacter属全株を検討した。本属のなか、A.baumanniiがヒトに対して侵襲性が高いことから、OXA51 遺伝子の存在解析による遺伝学的な同定を行った。カルバペネム耐性については、OXA23、OXA28、OXA58、OXA51上流領域のIS配列、メタロβラクタマーゼ遺伝子の存在を検討した。OXA23, OXA51上流のISが認められたもの、およびNDM1遺伝子が認められたものがあったが、カルバペネマーゼ遺伝子の同定に至らなかった株も多かった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

1) 腸内細菌科細菌の耐性遺伝子解析は、表現型検査としてのMCIM法とSMA法の結果との整合性を検討したところ、おおむね一致をみた。これにより、院内感染対策のためのCPE判定の迅速性が図られた。
2) 本研究課題で実施したMRSAの院内感染対策に供するパルスフィールド電気泳動とPOT法の結果は、一部に感度の差を認めたが、いずれかの方法を院内感染対策のための基本情報として用いることの妥当性を確認した。
3) 小児の尿路感染原因の第3世代セファロスポリン耐性大腸菌の耐性遺伝子解析を実施し、分子疫学データとした。また、CTX-Mの型の違いによる耐性解析も実施している。
4) Acinetobacter属のカルバペネム耐性は既知の耐性遺伝子以外による機構が示唆された。

Strategy for Future Research Activity

1)カルバペネム系薬の使用が少ない病棟においても、カルバペネム耐性遺伝子保有株の分離が多い。カルバペネム系薬による選択圧が低い環境下においてもカルバペネム耐性遺伝子が長期間にわたり検出されることは、これら遺伝子保有が何等かのgrowth advantageを与える可能性を示唆する。この機構および水平伝播機構の解析が次に求められる。
2)これまで、院内感染が疑われた際には、パルスフィールド電気泳動解析を標準法として実施してきたが、手技が煩雑でかつ時間も要するため、POT法や、その他の分子疫学解析法が望まれる。

Causes of Carryover

実験計画の進行を妨げないレベルで、厳格な節約に努めた。本実験計画で使用する試薬の一つ一つは専用試薬であるため極めて高価である。希釈可能な試薬は可能な限り希釈して使用し、ディスポ―ザル器具は再処理して使用した。その結果、実験はおおむね順調に進めることができた。次年度以降も、使用する物品は同様なものであるため、実験回数の増加を目指す。

  • Research Products

    (4 results)

All 2020

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (3 results)

  • [Journal Article] Monitoring Quinolone Resistance Due to Mutations in GyrA and ParC in Haemophilus Influenzae(2012-17)2020

    • Author(s)
      Yasuhiro NAGATOMO, Tetsuro SHIRAKURA, Kunihiko FUKUCHI, Takahiro TAKUMA, Issei TOKIMATSU, Yoshihito NIKI.
    • Journal Title

      The Showa University Journal of Medical Sciences

      Volume: 32 Pages: 81-90

    • DOI

      10.15369/sujms.32.81

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] 上部尿路感染症患児から分離されたESBL産生大腸菌の非カルバペネム系抗菌薬感受性と酵素型に関する検討2020

    • Author(s)
      金澤建、阿部祥英、湧嶋理那、佐藤義剛、上條香織、松橋一彦、福地邦彦
    • Organizer
      第69回日本感染症学会 東日本地方会学術集会 第67回日本化学療法学会 東日本支部総会 合同学会2020
  • [Presentation] リネゾリド使用量低下によるリネゾリド耐性腸球菌の新規検出減少と薬剤費削減効果2020

    • Author(s)
      岡冨 大輔、山西 紀子、片山 雄太、谷口 雅敏、松田 裕之、石野 敬子、福地 邦彦、二木 芳人
    • Organizer
      第30回日本医療薬学会年会
  • [Presentation] 昭和大学におけるMBL IMP-1およびIMP-11の同一Plasmid による長期間Outbreakのレトロスペクティブ解析2020

    • Author(s)
      矢持忠徳、福地邦彦
    • Organizer
      第67回日本臨床検査医学会学術集会

URL: 

Published: 2021-12-27  

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