2018 Fiscal Year Research-status Report
Cancer diagnosis support system by analysis of free DNA in blood and label-free circulating cancer cells using spectroscopy
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17K09022
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
伊藤 寛晃 昭和大学, 医学部, 准教授 (70443447)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ラマン散乱分光法 / 近赤外線レーザー / 無標識診断 / リアルタイム生体内診断 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】物質中の成分、構造を評価する非破壊質的分析法であるラマン散乱分光法を応用して、血液を含む体液、血液中の細胞、組織などの生体試料を、ホルマリン等で固定しない状態で、かつ無標識で迅速に評価するための技術を確立する。 【方法1-顕微ラマン分光装置】生体試料をラマン分光法で解析する際、生体試料からの自家蛍光が大きな妨げとなる。そこで、われわれは自家蛍光の影響を受けづらい生体試料の分析に最適化した顕微ラマン分光装置を開発した。1064nm波長の近赤外線レーザーを励起光源とし、検出系の仕組みも自家蛍光の影響を受けづらい構造にした。 【方法2-血清の評価】上記顕微ラマン分光装置を用いて、消化器がん患者、非担がん患者それぞれから採取した血清のラマン散乱光波形を記録した。記録されたラマン散乱光波形を解析して臨床情報と比較した。 【方法3-組織の評価】同じく上記顕微ラマン分光装置を用いて、内視鏡的治療により切除摘出された消化器がん(食道がん、胃がん、大腸がん)の非固定状態組織を対象に、ラマン散乱光波形を記録した。記録されたラマン散乱光波形を解析して病理組織学的診断と比較した。 【結果】すべての患者血清、患者組織からS/N比の高いラマン散乱光波形を記録することができた。血清のラマン散乱光波形をもとにしたアルゴリズムにより、がん患者と非担がん患者を精度良く区別することができた。組織では、病理組織学的所見とほぼ同等に病変部のマッピングを行うことができた。 【結論】ラマン分光法を応用することで、前処理を行わず、無標識の状態で簡便迅速に生体試料(血清、組織)の質的評価を行うことができた。現在、血清、組織ともに試料数を増やして前向き試験を行っている。生体のリアルタイム評価技術を確立するべく研究を推進している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【血清、組織】無標識、無固定の状態でラマン散乱光波形を記録し、かつ質的評価ができており、計画よりも順調に進んでいる。 【細胞】培養細胞を対象にラマン散乱光波形取得のための条件設定を行っている。限られた試料種ではあるが、培養生細胞のラマン散乱光波形に成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
【血清】試料数を増やして、より精度の高い評価技術を確立する。 【細胞】血液中のがん細胞など生体試料を用いて分析を進める。 【組織】試料数を増やして、より精度の高い生組織評価技術を確立する。
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Causes of Carryover |
研究推進のための購入物品の価格が予想より安価になったことと、購入予定物品の一部を未購入であるため。 未購入の購入予定物品は2019年度に購入予定である。
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Research Products
(2 results)