2018 Fiscal Year Research-status Report
骨髄異形成症候群から急性白血病へ移行する分子機構の探索~新規治療法開拓に向けて
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17K09026
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
通山 薫 川崎医科大学, 医学部, 教授 (80227561)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 網羅的遺伝子解析 / ゲノム / 造血障害 / 白血病移行 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨髄異形成症候群(MDS)は難治性造血障害であるが、とりわけ急性骨髄性白血病への移行が生命予後を大きく左右する。本研究の契機となったMDS患者由来細胞株MDS92を継代中に、8つの亜株を樹立することができた。MDS92とその亜株は、MDSから急性白血病への流れをインビトロで再現した培養細胞モデルのラインアップである。これらの細胞株と、発端となったMDS患者骨髄細胞を用いた全エクソームの比較解析によって、病型進展に関わる遺伝子変異を探索し、MDSの病型移行・病態悪化の分子機構の一端を解明し、それを阻止する新しい治療戦略への道を開くことが本研究の目的であり、継続的に取り組んできた。 これまでの解析の結果、元のMDS患者骨髄細胞にはすでにTP53変異が検出されたが、それに加えて約9%の分画に骨髄系腫瘍でしばしば注目されているCEBPA変異が検出された。その培養中にN-RAS活性化変異が付加され、細胞株MDS92の樹立へつながったと推定された。またMDS92からMDS-Lへ移行する段階で、小児脳幹腫瘍で高頻度に検出されドライバー変異とみなされているHistone1H3C 変異(K27M)が見出されたが、Histone1H3C 変異(K27M)クローンの拡大はIL-3依存性で、逆にIL-3非存在下では同変異を有するクローンは縮小し、同変異のないクローンが存続することが確認された。 この結果から、ドライバー変異を獲得した異常クローンといえども、増殖・拡大するためには造血因子のような至適な骨髄環境要因が必要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
患者骨髄細胞から各段階の細胞株において、造血器腫瘍発生からその進展に関わる遺伝子変異を段階的に捕捉することができ、ゲノム進化の観点から腫瘍を論じることができるようになった。ただしこの一連の細胞株におけるゲノム変異を探索したところ、骨髄系腫瘍で典型的な遺伝子変異以外の遺伝子異常がいくつか見つかっており、それらの変異の意義づけが現時点では不明である。
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Strategy for Future Research Activity |
一連の細胞株におけるゲノム変異を探索したところ骨髄系腫瘍で典型的な遺伝子変異以外の遺伝子異常がいくつか見つかったが、それらの変異の意義づけが現時点では不明であることから、遺伝子情報解析の精度をさらに上げて探索する必要性がある。 またHistone1H3C 変異(K27M)クローンの拡大がIL-3依存性であることのメカニズムを解明することが有意義である。
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Causes of Carryover |
前年度からの繰越額があったことと、今年度遺伝子の追加解析を要しなかったこと、消耗品購入に他の研究予算からの出費が比較的多く、結果として今年度の未使用額が生じた。次年度は最終年度にて研究のまとめの時期にあたるので国際学会での成果発表を予定する。また将来のさらなる研究展開を見据えた方向性を見出せるような検討に集中する。そのために消耗品の追加購入、遺伝子解析装置の導入を考慮する。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Interobserver concordance of assessments of dysplasia and blast counts for the diagnosis of patients with cytopenia: From the Japanese central review study2018
Author(s)
Matsuda A, Kawabata H, Tohyama K, Maeda T, Araseki K, Hata T, Suzuki T, Kayano H, Shimbo K, Usuki K, Chiba S, Ishikawa T, Arima N, Nohgawa M, Ohta A, Miyazaki Y, Nakao S, Ozawa K, Arai S, Kurokawa M, Mitani K, Takaori-Kondo A
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Journal Title
Leukemia Research
Volume: 74
Pages: 137~143
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] SIRT1 Activation Disrupts Maintenance of Myelodysplastic Syndrome Stem and Progenitor Cells by Restoring TET2 Function2018
Author(s)
Sun J, He X, Zhu Y, Ding Z, Dong H, Feng Y, Du J, Wang H, Wu X, Zhang L, Yu X, Lin A, McDonald T, Zhao D, Wu H, Hua WK, Zhang B, Feng L, Tohyama K, Bhatia R, Oberdoerffer P, Chung YJ, Aplan PD, Boultwood J, Pellagatti A, Khaled S, Kortylewski M, Pichiorri F, Kuo YH, Carlesso N, Marcucci G, Jin H, Li L
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Journal Title
Cell Stem Cell
Volume: 23
Pages: 355~369.e9
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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