2018 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of cleavage fragments produced by proteolysis on cancer cell membrane
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17K09027
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Research Institution | Kanagawa Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
越川 直彦 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所), 臨床研究所, 部長 (70334282)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 膜型メタロプロテアーゼ / 基質 / 限定分解(プロセシング) / プロセシング断片 / HB-EGF / ErbB受容体リガンド / EphA2 / がん化促進因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)今年度、MT1-MMPを強制発現させた腺がん細胞を用いて、MT1-MMPによる特異的な基質分解断片の探索を進めた。MOCK細胞とMT1-MMP強制発現細胞の培養上清(CM)中の膜蛋白質、分泌蛋白質およびそれら分解断片を比較したが、CBB染色では染色性の違いは見られなかった。銀染色においてもCM中の蛋白質を確認したが、染色性の違いはみられなかった。このことから、この細胞を用いた解析は基質断片の探索には適さないことが判明した。 (2)MT1-MMPは細胞膜上でErbB受容体のリガンドであるヘパリン結合性EGF様増殖因子(HB-EGF)のN末端を限定分解して、N末端を欠損したHB-EGF(tra-HB-EGF)を産生する。また、このtra-HB-EGFはヘパリン結合性を持たずEGFと同様にErbB受容体の活性化に寄与する。先行研究でtra-HB-EGFをベイトとしてファージディスプレイ法で作製した抗体とHB-EGFの汎用抗体の組み合わせについて査定を行い、tra-HB-EGFを選択的に検出するサンドイッチELISA系を確立した(263/N3抗体)。また、野生型HB-EGFを測定するELISA系も作製した(261/N1抗体)、今年度、培養上清中に産生された野生型HB-EGFとtra-HB-EGFの定量を行った結果、それぞれの抗体を用いたサンドイッチELISAは両者を選択的に測定することが可能であった。しかし、その反応性は十分ではなく、今後、免疫反応の増感等が必要となる。 (3)EphA2断片については引き続き、臨床検体を測定するためにサンドイッチELISA系のブラッシュアップを行った。そして、膵がん患者血清中の当該分子を測定するために、本研究施設の倫理委員会へ実験承認のための申請を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
膵がん診断の新たなバイオマーカーの探索は多少の遅れがみられるが、先行研究で見いだしているHB-EGF、EphA2のプロセシング断片を指標とした測定法は十分な進展がみられた。次年度、LC-MS/MSによる網羅的ショットガン解析を用いることで、十分に新たなバイオマーカーを見いだすことが可能と思われる。 また、現段階ではtra-HB-EGFの測定法の検出感度は十分ではないが、野生型とその断片を選択的に検出することが可能である。EpphA2断片と共々、ELISAで用いる検出系を化学発光等に切り替えることで現状よりも高い検出感度を得ることができると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)MT1-MMPを強制発現させた細胞は細胞外基質への接着性が低下し、アノイキスによる細胞死を起こすことが見受けられた。次年度、この問題を解決するため、MT1-MMPをある程度発現する膵がん細胞を用いてもう一度同様の検討を進めることが必要となる。また、CM中の基質断片を網羅的にLC-MS/MSで解析をすることを計画している。 (2)また、tra-HB-EGFをヒト血清から検出するためには、現在のELISA定量の改善が必要となる。まず、抗体種がヒトIgGであるため、標識した2次抗体の種類が限定されている。そのため、検出系を酵素基質系から酵素発光系に変更して検出感度の増幅が必要と思われる。 (3)76A1/46A1抗体を用いたEphA2遊離断片のELISA測定法についても検出感度の必要であるため、化学発光による検出系を用いた新たなELISA測定法を構築することを計画している。膵がん患者血清の本院での採取を継続して行う。
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Causes of Carryover |
繰り越し理由として、膵がん細胞を用いたMT1-MMPによる基質分解断片の解析が遅れており、この遅れを取り戻すために2ヶ月程度の研究補助員を採用してLC-MS/MSに用いる試料の作製を計画している。その分の人件費の繰り越しを行った。
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Research Products
(10 results)