2017 Fiscal Year Research-status Report
脂肪由来幹細胞の細胞シートによる末梢神経の再生に関する研究
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17K09030
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
多田 薫 金沢大学, 医学系, 助教 (90543645)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅沼 省吾 金沢大学, 附属病院, 医員 (10622889)
林 克洋 金沢大学, 大学病院, 助教 (80507054)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脂肪幹細胞 / 細胞シート / 末梢神経 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は生体吸収性チューブ内に細胞シートを封入し、評価する実験を計画していました。 細胞シートについては、当初の計画通り当科のFangらが考案した、脂肪幹細胞にアスコルビン酸を添加するという手法で作成しました。現在、細胞シートは安定して作成できる状態となっています。実験モデルとして、10~12週齢のラットを使用し、15mmの坐骨神経の欠損を作成して16mmの生体吸収性チューブ(ナーブリッジTM)で架橋するラット坐骨神経欠損モデルを使用しました。実験群としてチューブ内に細胞シートを封入した群(シート群)、チューブ内にコラーゲンゲルとADSCsを封入した群(細胞群)、チューブのみで架橋した群(対照群)を作成し、2、4、8週後に再生組織を採取して評価を行いました。評価項目はチューブ内の生細胞数(Di-I染色)、軸索伸長距離(βIII-tubulin染色)、前脛骨筋の筋湿重量比であり、4、8週後には上記の評価の前に電気生理学的評価として坐骨切痕部で電気刺激を行い、前脛骨筋の複合筋活動電位を計測、評価しました。4週後の軸索伸長距離については、対照群と細胞群には有意差を認めませんでしたが、これらとシート群には有意差を認めました。また、4週後の再生組織内の細胞数については、シート群で細胞の集積が顕著であったことが判明しています。なお、ここまでの研究結果については、2017年度の日本末梢神経学会などで報告を行っています。現在は2019年度に一連の研究結果を総括し、学会発表を行う計画です。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞シートを安定して作成するまでに相応の時間を要しましたが、研究は当初の計画通りに進んでいます。
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Strategy for Future Research Activity |
当初はモデル作成後8週までの評価を考えていましたが、現在は12週までの評価が必要であると考えています(私たちの研究グループが同時進行で行っている別の研究結果から、そう考えるに至りました)。
平成30年度はコラーゲンを足場とした細胞シートを作成し、これを人工神経として用いる計画を立てていましたが、これに先立ちモデル作成後12週の病理学的評価や電気生理学的評価、再生産物の遺伝子発現に関する評価、などを追加で行う予定です。
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Causes of Carryover |
本研究は平成30年度、平成31年度にも継続して行う研究であり、当初の予定通り次年度使用額が発生しています。
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