2018 Fiscal Year Research-status Report
脂肪由来幹細胞の細胞シートによる末梢神経の再生に関する研究
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17K09030
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
多田 薫 金沢大学, 医学系, 助教 (90543645)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅沼 省吾 金沢大学, 医学系, 協力研究員 (10622889)
林 克洋 金沢大学, 医薬保健学総合研究科, 特任教授 (80507054)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 末梢神経 / 脂肪幹細胞 / 細胞シート |
Outline of Annual Research Achievements |
本来の予定通り、生体吸収性チューブ内に脂肪幹細胞の細胞シートを封入するモデルについての研究結果をまとめ各種学会で報告しました。実験では生体吸収性チューブ単独群(対照群)と生体吸収性チューブ内に脂肪幹細胞の細胞懸濁液を封入した群(細胞群)と生体吸収性チューブ内に脂肪幹細胞の細胞シートを封入した群(細胞シート群)の3群の成績を比較しています。その結果、対照群よりも細胞群や細胞シート群において液性因子のmRNA発現量が多くなっていたことが判明しました。また細胞群に比べ細胞シート群では再生組織内のシュワン細胞数が増加し、軸索の伸長距離が長くなる傾向を認めました。すなわち脂肪幹細胞の細胞シートは人工神経の末梢神経再生促進効果を向上させると考えられました。この結果については本年度の日本マイクロサージャリー学会で既に報告しており、英文論文を投稿中です。 上記の研究に加え、近年欧米で臨床応用が急激に進んでいる「同種処理神経」を用いた研究も開始しました。この研究では各種溶液での脱細胞化処理を行い作成した同種処理神経に、脂肪幹細胞の幹細胞シートを付加したモデルを使用しています。本研究の結果、細胞シートを付加した同種処理神経は一部の評価基準において自家神経と同等の成績を得られたことを確認しています。この結果については本年度の日本末梢神経学会で既に報告しています。来年度はcell trackingなどにより細胞シートの作用機序について評価した上で、日本手外科学会での学会発表や英文論文の投稿を行う予定です。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
細胞シートによる神経再生促進効果について十分な結果が得られたことから、今後日本での基礎研究や臨床応用が進むことが確実視されている「同種処理神経」に対する細胞シートの応用について検討する段階に進むことができました。同種処理神経の成績を向上させるためには細胞成分の付加が必須だと考えられており、近年は世界中で様々な取り組みが行われています。本研究はそれらの研究の中でも、細胞の確実な担持が行えるシート化の技術を応用した独創性、新規性の高い研究となっています。さらに、細胞シートにより自家神経を強化する「強化型自家神経」という新しいコンセプトの移植片についての研究も開始しています。
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Strategy for Future Research Activity |
同種処理神経を扱う他施設の研究者とも緊密に連絡をとり、研究を推進しています。また、来年度からは本研究の共同研究者として大学院生を一名増員する予定です。 残念ながら日本国内においては同種処理神経について研究している組織が少ないため、積極的に海外施設との交流や議論を進めたいと考えています。来年度にはベルリンで開催される国際手外科学会で本研究の結果について報告し、情報発信と意見交換を図る予定です。強化型自家神経に関しては来年度上半期に和文論文を投稿し、そのコンセプトを世に問いたいと考えています。
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Causes of Carryover |
同種処理神経および強化型自家神経の研究のために使用します。
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Research Products
(6 results)