2017 Fiscal Year Research-status Report
TRPV1チャネルを介した鎮痒と鎮痛の役割を明らかにする
Project/Area Number |
17K09033
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
今町 憲貴 島根大学, 医学部, 准教授 (40325048)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齊藤 洋司 島根大学, 医学部, 教授 (50162243)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | オピオイド / 痒み / 鎮痒 / TRPV1 |
Outline of Annual Research Achievements |
オピオイドの脊髄くも膜下腔(i.t.)投与により強力な鎮痛効果が得られる。一方、オピオイドのi.t. による副作用として30-90%の患者に痒みが生じる。臨床においてオピオイドによる痒みの有効な治療法は確立されていない。われわれはTransient Receptor Potential Vanilloid 1(TRPV1)がヒスタミンによる末梢性の痒みに関与していることを明らかにした。しかし、TRPV1がオピオイドによる中枢性の痒みに及ぼす影響は不明である。今回、少量のTRPV1拮抗薬のi.t. 投与がモルヒネによる痒みを抑制するかを検討した。C57BL / 6系雄マウス各群6匹を用いた。実験1:モルヒネ 0.1,0.3,1.0 nmol、TRPV1拮抗薬としてSB366791 0.1 nmol、モルヒネ 0.3 nmol+SB366791 0.01,0.03,0.1 nmol、生理食塩液 (生食)、緩衝液(生理食塩液 + エタノール)5μlをi.t.後60分間ビデオ撮影し、経時変化と総引っ掻き回数を解析した。実験2:マウスの鎮静レベルについて実験1のビデオを用い、10分毎に、0=ふらつきなし、1=ややふらつく、2=ふらつく、の3段階で評価を行った。統計解析は、分散分析を行い、群間比較は Scheffe’s法、 Kruskal-Wallis検定を用いた。P<0.05を有意差ありとした。実験1:生食群と比較し、モルヒネ群では0.3 nmol群で有意に引っ掻き行動が観察された。SB366791は引っ掻き行動を誘発しなかった。モルヒネ + SB366791群では全群で有意に引っ掻き行動を抑制した。実験2:モルヒネ0.3,1.0 nmol群は生食群に比べ有意に鎮静された。SB366791により鎮静は生じなかった。モルヒネ単独群と比べモルヒネ+SB366791の混合群は鎮静レベルの変化を認めなかった。i.t. 投与したTRPV1拮抗薬は鎮静度を増悪させることなくモルヒネによる痒みを抑制した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脊髄くも膜下投与した少量のTRPV1拮抗薬であるSB366791がモルヒネにより生じる鎮静度を増悪させることなく痒みを抑制することを明らかとし、鎮痒薬として有用であることが示されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
TRPV1拮抗薬の最大の問題点である体温に及ぼす影響とモルヒネの鎮痛効果に及ぼす影響をマウスを用いて検討する。
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Causes of Carryover |
解析用のコンピューターを購入予定としていたが、次年度以降に変更したため。 使用計画として動物実験の継続、コンピューターの購入、情報収集や成果発表のための旅費等に使用予定である。
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Research Products
(2 results)