2018 Fiscal Year Research-status Report
TRPV1チャネルを介した鎮痒と鎮痛の役割を明らかにする
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17K09033
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
今町 憲貴 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 准教授 (40325048)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齊藤 洋司 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (50162243)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | TRPV1 / 鎮痛 / 体温 |
Outline of Annual Research Achievements |
Transient receptor potential cation channel subfamily V member 1(TRPV1)拮抗薬の全身投与は体温上昇の副作用ため臨床応用がなされていない。今回、痒みを抑制する少量のTRPV1拮抗薬の脊髄くも膜下腔投与が体温とモルヒネによる鎮痛効果に及ぼす影響を検討した。C57BL / 6系雄マウス各群6-8匹を用いた。実験1:マウスの体温を薬剤投与前、投与後10、20、30、40、50、60分で各々2回ずつ測定し、その平均値を解析した。体温は、赤外線温度計を用い、背部で測定した。薬剤はモルヒネ 0.3 nmol、TRPV1拮抗薬としてSB366791(SB) 0.1 nmol、モルヒネ 0.3 nmolとSB 0.1 nmol混合液、生理食塩液 (生食)、生食 とエタノール混合液(溶解液)を脊髄くも膜下投与した。実験2:鎮痛効果はTail Immersion Test を用い、投与前、投与後5、15、30、60、90、120、150 分で2回測定し、その平均値を解析した。薬剤はモルヒネ 0.1,0.3,1.0 nmol、SB 0.01,0.1 nmol、モルヒネ 0.3 nmolとSB 0.1 nmol混合液、生食、溶解液 を脊髄くも膜下投与した。統計解析は、分散分析を行い、群間比較は Scheffe’s法を用いた。P<0.05を有意差ありとした。体温に関しては、全群が経過中35.8-36.2℃の範囲内であり、SB単独群、モルヒネとSBの混合群はともにコントロールと比べて体温上昇は生じなかった。鎮痛効果は、モルヒネ群では用量依存性に得られた。SB単独群では鎮痛効果を生じなかった。モルヒネとSBの混合群では鎮痛効果の相互作用を生じなかった。痒みを抑制する少量のTRPV1拮抗薬の脊髄くも膜下腔投与では体温の上昇は認めず、モルヒネの鎮痛効果を減弱することもなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オピオイドにより生じる痒みに対して脊髄くも膜下腔に投与した少量のTRPV1拮抗薬が体温上昇を生じることなく、また、モルヒネの鎮痛効果を減弱させなったことを明らかとし、TRPV1拮抗薬の脊髄くも膜投与が副作用の少ない鎮痒薬として有用である可能性が示されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
術後痛モデルにおいて、TRPV1拮抗薬単独での鎮痛効果とTRPV1拮抗薬がモルヒネの鎮痛効果に及ぼす影響を検討する。
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Causes of Carryover |
謝金等に支払いが生じなかっため、次年度使用額が生じた。使用計画として動物実験の継続、成果発表、情報収集のための旅費、論文作成等のため使用予定である。
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Research Products
(9 results)