2017 Fiscal Year Research-status Report
Identification of the role of noradrenaline system in the enhanced nociception-emotion link in chronic pain
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17K09042
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
高橋 由香里 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (20613764)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 扁桃体 / 神経科学 / 腕傍核 / シナプス可塑性 / モノアミン |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性痛における扁桃体シナプスでの可塑的変化の成立における内因性ノルアドレナリンの意義を同定する目的で、ドパミンβヒドロキシラーゼプロモーター下にCreリコンビナーゼを発現するDBH-tTA-2A-Cre BAC Tg ratの主要なノルアドレナリン神経核である孤束核にCre依存的チャネルロドプシン発現用アデノ随伴ウイルスベクターを微量注入した。8週間後に急性脳スライス標本を作製し、扁桃体中心核におけるウイルスベクター由来蛍光タンパク陽性ノルアドレナリン神経終末を観察した。その後、扁桃体中心核ニューロンよりパッチクランプ記録を行い、光刺激の影響を解析した。その結果、下記を見出した。(1)孤束核にウイルスベクターを局所注入した動物では扁桃体中心核に豊富な蛍光シグナル陽性終末が認められた。(2)連続的光刺激によって、腕傍核-扁桃体間興奮性シナプス後電流の振幅がわずかに小さくなるニューロン、および、大きくなるニューロンが記録された。(3)このとき、細胞外ノルアドレナリン再取り込み阻害薬duloxetineの存在下に同刺激を行ったところ、大部分のニューロンでこの反応が亢進した。(4)同様にduloxetine存在下、光刺激による過分極活性化非時間依存的不活性化型カチオンチャネル電流(Ih)の振幅の変化が認められた。これらの内因性ノルアドレナリンによる神経興奮性とシナプス伝達の変化と慢性痛成立過程の関係を解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ノルアドレナリン神経の軸索において一定以上の量のチャネルロドプシンの発現を得るために要する時間が、計画時の2倍かかることが判明したため、当該年度はノルアドレナリン神経でのチャネルロドプシン発現系の条件検討に予定以上に時間を費やし、当該年度に計画していた2つのウイルスベクターを組み合わせる実験計画は進捗が遅延している。一方、次年度に計画していた疼痛モデルにおけるシナプス伝達解析に当該年度から着手し始めており、総合するとおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在進めている、急性脳スライス標本でのホールセルパッチクランプ記録による内因性ノルアドレナリンの機能解析を引き続き進めるとともに、青斑核への遺伝子導入実験の条件検討にも注力し、青斑核および孤束核由来ノルアドレナリン神経由来の内因性ノルアドレナリン作用の比較を行う。
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Causes of Carryover |
当該年度前半に、本研究の基盤となるウイルスベクターによる分子発現系の実験条件を確立するための条件検討に取り組んだ。その結果、目的の分子発現を得るには計画時に予定していたよりも時間を要したため、当該年度前半の消耗品の使用量が少なく次年度使用額が生じた。次年度の消耗品の購入と実験動物飼育費などに使用する。
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Research Products
(6 results)