2017 Fiscal Year Research-status Report
Novel therapeutic strategy targeting RAGE for treatment of peripheral neuropathy and visceral pain
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17K09046
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
川畑 篤史 近畿大学, 薬学部, 教授 (20177728)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | RAGE / HMGB1 / 末梢神経障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、RAGEアンタゴニストを評価する実験系の構築、インシリコ解析によるシーズ候補物質の検索、ヘパリン誘導体のRAGE拮抗活性と、HMGB1依存性疼痛に対する作用と、凝固系への影響について検討を行った。 〇インシリコ解析では、RAGEの結晶構造の解析を富山大学の豊岡教授等と共同で行い、数個の候補物質を抽出することができた。一方、既存のRAGE拮抗薬と構造的に類似する化合物を市販医薬品の中から検索・抽出した。そこで類似性の高かった数個の化合物について、マウスにおける還元型HMGB1誘起アロディニアに対する抑制作用を評価し、第2世代H1受容体拮抗薬に分類されるアゼラスチンが、既存のRAGE拮抗薬に匹敵する効力を有することを見出した。さらに、オキサリプラチンあるいはボルテゾミブ誘起末梢神経障害性疼痛モデルにおいてもアゼラスチンが強力な疼痛抑制効果を示すことを見出した。 ○ヘパリン誘導体を用いた解析では、特に中分子ヘパリンのフェニルアラニン誘導体(ヘパニリルフェニルアラニン)に注目してマウスにおける解析を行ったところ、還元型HMGB1誘起アロディニアと、オキサリプラチン誘起末梢神経障害に対して、低分子ヘパリンとほぼ同等の抑制効果を有することを見いだした。一方、in vitroにおいて血液凝固第Xa, IIa因子に対する抑制効果を調べたところ、ヘパニリルフェニルアラニンは低分子ヘパリンよりも凝固因子に対する影響がはるかに少ないことを確認できた。 ○RAGEアンタゴニストの効力をin vitroで評価する実験系の構築を目指して検討を重ねてきたが、まだ完成には至っていない。 以上、当初の計画どおりに進んでいない部分も若干あるが、今後さらに精力的に検討を進めていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、平成29年度に実施する予定していた実験は概ね順調に進んだが、RAGEシグナルを検出することのできるRAGE発現細胞のクローニングが予想以上に戸惑っており、現在はCHO細胞を用いてtransientなRAGE発現系の構築を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
当面は、平成29年度にインシリコ解析でRAGE拮抗作用を示す可能性が示唆されたアゼラスチンと、ヘパニリルフェニルアラニンを用いて、マウスでの検討を進める一方、培養細胞を用いたシグナル解析を並行して行う。RAGEの結晶構造からインシリコ解析により見出したシーズ化合物の活性評価は、できればRAGEをtransientに発現させた細胞でまずは実施したい。また、富山大の豊岡教授が、現在、アゼラスチンのH1拮抗活性を失くすための構造展開を行っているので、それらの新規化合物についても評価を行う予定である。
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