2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K09052
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
大岡 静衣 公益財団法人東京都医学総合研究所, 精神行動医学研究分野, 主席研究員 (80313097)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西澤 大輔 公益財団法人東京都医学総合研究所, 精神行動医学研究分野, 主席研究員 (80450584)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 痛み / インターロイキン17A |
Outline of Annual Research Achievements |
インターロイキン-17A (IL-17A) は、炎症性サイトカインやケモカインなどを誘導することで炎症を引き起し、自己免疫疾患や炎症性疾患、アレルギー反応、病原体感染防御において重要な役割を果たす。これまでの報告から、ヒトにおいて、免疫が報償系を介して痛みと関連することが明らかになっている。また、げっ歯類において、IL-17Aが神経炎症や神経痛に関与することも報告されていることから、ヒトでもIL-17Aが痛みに関連する可能性が高い。IL-17A遺伝子の一塩基多型 (SNP) であるrs2275913 は、これまでに喘息、リウマチ性関節炎、潰瘍性大腸炎などの炎症性疾患、およびがんとの関連が報告されている。そこで、rs2275913 SNPについて、顎矯正手術前後の痛み関連表現型との関連を解析したところ、遺伝子型AAの患者で術中術後のオピオイド要求性が有意に上昇していたことから(p = 0.009)、AAの患者では、IL-17Aの機能が亢進し炎症が激化することにより、オピオイド要求性が上昇したと考えられる。このようにIL-17Aと痛み関連表現型との関連が認められたことから、IL-17A遺伝子および隣接するIL-17F遺伝子周辺のSNPについて、網羅的に痛み表現型との関連解析を行った。その結果、IL-17A遺伝子のrs1937146 SNPのCC遺伝子型および rs9357726 SNPのGG遺伝子型が術前痛み感受性の上昇と有意に関連することが明らかとなった。これまで、ヒトにおいて、IL-17Aのrs2275913 SNPのAA遺伝子型は炎症を亢進させることも報告されている。したがって、ヒトにおいてIL-17Aは炎症系を活性化することにより、痛み感受性や顎矯正手術後のオピオイド要求性に影響を及ぼす可能性が高い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒトにおいてIL-17Aは炎症系を活性化することにより、痛み感受性や顎矯正手術後のオピオイド要求性に影響を及ぼす可能性が高いことを明らかにし、IL-17Aと痛みとの関連を示すことができ、論文化することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒトゲノム解析を推進する中で、水痘帯状疱疹後神経痛等と関連の強い遺伝子を発見したので、痛みと当該遺伝子との関連も併せて、痛みを引き起こすメカニズムに迫りたい。
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Causes of Carryover |
平成29年度末から発売開始される予定であった実験用試薬の発売が平成30年度にずれ、研究計画上、その試薬の購入用として次年度使用することができるようにするため。
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Research Products
(4 results)