2018 Fiscal Year Research-status Report
脳腫瘍に対する化学療法併用放射線治療による高次脳機能障害の解析
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17K09073
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Research Institution | Nagasaki International University |
Principal Investigator |
高井 伸彦 長崎国際大学, 薬学部, 准教授 (70373389)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 放射線脳壊死 / 放射線治療 / NMDA受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳腫瘍に対する放射線治療において、重篤な副作用として放射線脳壊死がある。この副作用に対して抗炎症薬や、べパシズマブなどのがん細胞の増殖に関わるVEGF(血管内皮細胞増殖因子)の抗体薬が用いられているが、投薬期間や投薬量によっては、それ自身の副作用もあり、依然として放射線脳壊死を改善する方法が必要とされている。 我々は、脳腫瘍に対する放射線治療後に生じる脳壊死を軽減するため、第55回放射線影響懇話会および平成30年度「先端モデル動物支援プラットフォーム成果発表会」、国際会議The 8th Annual Meeting of the International Society of Radiation Neurobiologyにおいて、放射線照射によって生じる脳機能障害の作用機序ならびに新規防護剤の探索について報告した。 脳(中枢)および腹部腸管にはグルタミン酸受容体が存在していることが明らかとなっているが、予備実験にて実施した腹部放射線照射実験において,グルタミン酸受容体の1つであるNMDA受容体の活性化が、照射12-24時間後に生じることを、RIトレーサー実験により明らかにし、照射後に防護剤を投与しても放射線壊死を軽減できる可能性を見出した。さらにNMDA受容体阻害剤の1つであるMK801を、放射線照射前だけでなく、照射後に投与しても、正常組織障害が軽減されることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脳腫瘍に対する放射線治療において、重篤な副作用として記憶などの高次脳機能障害や放射線脳壊死があるが、脳壊死に関わるNMDA受容体の活性化をRIトレーサー実験によって明らかにすることができた。この結果は、放射線脳壊死を防ぐための防護薬の最適な投与時間を科学的に証明できるだけでなく、治療後の患者予後を推定することに役立てることが可能と考えられる。放射線防護薬のほとんどが、照射前に投与することで効果を見出してきたが、我々の結果は、治療後の防護薬の投与によっても効果を見出せる可能性を示しており、2019年度にその実験を実施し、治療後投与実験の結果を示したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
脳腫瘍に対する放射線治療において生じる重篤な副作用として記憶などの高次脳機能障害や放射線脳壊死があるが、放射線治療と抗がん剤の併用療法を実施した場合に、その影響解析は、今後の治療方針に大きな影響を与えることになる。 我々の放射線治療動物モデルを利用し、記憶障害や脳壊死に対して、その作用を増悪するかについて、代表的な脳腫瘍治療に用いられる抗がん剤を併用投与し明らかにする予定である。
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Research Products
(5 results)