2018 Fiscal Year Research-status Report
エンテロウイルスD68型の抗体保有状況の推移と流行の関連
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17K09080
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岡本 道子 東北大学, 医学系研究科, 助教 (10593981)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
Dapat Clyde 東北大学, 医学系研究科, 講師 (10733826)
斉藤 繭子 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (20598031)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | エンテロウイルスD68型 / 血清抗体価 |
Outline of Annual Research Achievements |
エンテロウイルスD68(EV-D68)はウイルス表面遺伝子の配列の違いにより3つのCladeA、B、Cに分けられる。我々は動物への感染実験によって各Cladeの中和抗体は交差反応を示すことを報告した(J Virol. 2014 Mar;88(5))。平成30年度は、ヒト血清抗体の各Cladeのウイルス抗原に対する交差反応性を比較するため、2015年のCladeBの流行前と流行後に採取された3歳児の保存血清を用いて、各Cladeに対する中和抗体価を測定した。 流行前の各Cladeに対する抗体価中央値はCladeBが最も低く、CladeAに対する抗体価が最も高く有意差が認められた。このことは2015年のCladeBの流行はCladeBの小児の集団免疫の脆弱さゆえの流行であり、CladeAに対する高い抗体価は2013年のCladeAの流行により獲得した免疫が維持されていた可能性が示唆された。 CladeBの流行後は流行したCladeBの抗体価中央値が最も高く流行前と比べ有意に上昇していた。さらに2010年以降、国内では報告がないCladeC対する抗体価も有意に上昇していた。動物実験による我々のデータではCladeBのウイルスで免疫した場合、CladeAに対する抗体価は有意に低かったが、CladeCとBに対する抗体価に有意差はなかった。よってCladeC対する抗体価の有意な上昇は、CladeBの流行によって獲得した抗体の交差反応である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでのデータは国内の保存血清のみでフィリピンの血清については未解析である。次年度はフィリピンの保存血清を用いた抗体価測定に向けてサンプルを準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
日本、フィリピン両国において2015年以降EV-D68の大きな流行は発生しておらず、2018年は2015年とは異なるクレードによる小規模な流行があったことが確認されているため、それらに対する中和抗体の測定も試みる予定である。
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Causes of Carryover |
フィリピンの保存血清を用いた抗体測定を次年度に持ち越したため、次年度は日本への検体輸送および人件費、消耗品購入に使用予定。
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Research Products
(1 results)