2021 Fiscal Year Research-status Report
エンテロウイルスD68型の抗体保有状況の推移と流行の関連
Project/Area Number |
17K09080
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岡本 道子 東北大学, 医学系研究科, 助教 (10593981)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
Dapat Clyde 東北大学, 医学系研究科, 講師 (10733826)
斉藤 繭子 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (20598031)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | エンテロウイルスD68型 / 血清抗体価 / ELISA / 中和 |
Outline of Annual Research Achievements |
エンテロウイルスD68(EV-D68)はウイルス表面遺伝子の配列の違いによりClade A、B、Cの遺伝子型に分類され、近年Clade Aから派生したClade Dが報告された。 フィリピンではこれまでClade Bの流行が数年おきに認められ、Clade Dは散発的に流行している。本研究ではEV-D68の血清抗体価をもとにCladeによる流行の違いや重症化の要因を検討することを目的としている。フィリピンでは2014年と2015年にClade Bの比較的大きな流行が認められ、2014年の流行後と2015年の流行前に採取された血清の抗体価を比較したところ、流行前の抗体価は流行後よりも有意に低値を示し、EV-D68の感染によって一旦抗体を獲得するものの抗体価は徐々に低下し、集団での免疫が低下したところで次の流行が起こることが示唆された。 2021年度はClade BとClade Dを抗原とし、防御抗体である中和抗体価を測定した。その結果ほとんどの小児の血清でELISA抗体価と中和抗体価の間に相関が見られ、ELISA抗体と同様に流行の前後で抗体価の変動が見られた。年代別の中和抗体保有状況や抗体価などのデータ解析は次年度におこなう。また、一部、相関が見られない血清もあったことから、ELISA法に用いたウイルス粒子を抗原としてウェスタンブロットをおこない、ヒト血清がウイルスタンパクのどの部分に反応しているかを確認した。その結果、中和抗体価が高い血清では、中和に対する抗原エピトープが存在するウイルス表面のカプシドタンパクVP1により強く反応していた。一方でELISA抗体が高値で、中和抗体が陰性の血清ではVP1以外のウイルスタンパクに反応していた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ELISAおよび中和抗体測定が終了した。
|
Strategy for Future Research Activity |
各CladeのELISA抗体価、中和抗体価を血清採取時期や年齢とともに解析する。また、市販の抗EV-D68モノクローナル抗体を用いたウェスタンブロット法によりinhouse ELISAで反応しているウイルスタンパクを明らかにする。論文執筆も合わせておこなう。
|
Causes of Carryover |
計画していた中和抗体の測定は終了したが、データ解析が途中であること、さらに中和抗体とELISA抗体に相関がない血清があったことから、次年度はデータ解析に加えてウェスタンブロットによりELISA抗原がどのウイルスタンパクに反応しているかを明らかにすることとする。これらが終了次第論文執筆をおこなう。
|
Research Products
(2 results)