2019 Fiscal Year Annual Research Report
Life-course Genome Study: From genome information to healthcare
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17K09081
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
村松 正明 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (50230008)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | コモンバリアント / 関連研究 / 環境要因・遺伝要因の交互作用 / p450代謝酵素 / ノンコーディングRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
HOTAIRと癌の関連研究:HOTAIRはHOX遺伝子クラスターにある非翻訳RNAであり、細胞の分化や癌化において重要な機能を持つ。HOTAIRの一塩基多型(SNP)rs920778はeQTLによりHOTAIR遺伝子発現を調節しており、このSNPは中国からの論文で複数の癌種との関連が報告されている。そこで日本人においてrs920778と癌の関連を調べた。東京都長寿健康医療センター病理部との共同研究の元、日本人連続剖検例を用いて解析した(n=1373人、平均年齢80歳)。827人 (60.2%)が病理的に確認された癌を有しており、546人 (39.8%)は癌を有していなかった。年齢・性・喫煙・飲酒で調整して優性・劣性・相加的モデルにおいて関連を調べたが、いずれも優位な関連は認められなかった。 CYP2A6 遺伝子欠損と癌の関連研究:CYP2A6はニコチン及び多くの環境化学物質の代謝を司るCYP450系酵素である。CYP2A6の遺伝子全欠損 (D型)は日本人ではアリル頻度が比較的高く、他のSNPではタグ付けされない。そこでアリル特異的PCRでW型及びD型を測定し、癌との関連を上記のサンプル集団で検討した。CYP2A6 D型のアリル頻度は19.7%であり、HWE平衡に従った。上記と同様に検討したが、全癌ならびに主要な胃、大腸、肺、血液との関連は認められなかった。性別解析では女性でD型は胃がん有病率を低下させた(OR=0.49、p=0.021)。また喫煙習慣別に解析したところ、女性非喫煙者において、D型で全がんの有病率が低下した(OR=0.67、p=0.041)。一方、喫煙者において、D型は血液癌の増加が認められた(OR=2.05、p=0.01)。CYP2A6欠損は、癌の発生に大きくに影響を及ぼす可能性は少ないが、性や喫煙により対象を層別化することにより癌と関連する可能性がある。
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