2017 Fiscal Year Research-status Report
ALDH2/ADH1B遺伝子型とヨード不染帯に基づく食道癌のリスクと予防の確立
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17K09093
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
堅田 親利 北里大学, 医学部, 講師 (80327361)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹下 達也 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (20150310)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | JEC試験 / ALDH2 / ADH1B / CYP2A6 / ヨード不染帯 / 飲酒 / 喫煙 / 食道癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
JEC試験 (Japan Esophageal Cohort study)は、食道癌内視鏡治療例の異時性食道癌発生リスクと発生までの期間を検討し、禁酒の予防効果を証明した国内唯一の多施設共同前向きコホート研究である。本研究は、JEC試験登録例に再度同意を取得してALDH2&ADH1B遺伝子解析を実施し、ALDH2&ADH1B遺伝子多型別の食道癌リスク評価と禁酒効果を検討するゲノムコホート研究である。飲酒量・ALDH2&ADH1B遺伝子多型の組み合わせ・食道粘膜のヨード不染帯の程度 (Grade A-C)に基づいた食道癌リスクを確立し、禁酒の介入が有効な集団を明確にすることにより、効率的な早期発見を目的とした集団の絞り込みや、予防を目的とした専門的な禁酒指導法を確立することを目的とする。また、CYP2A6遺伝子多型解析を実施することにより、CYP2A6遺伝子多型別の食道癌リスク評価と禁煙効果も検討する。 研究方法は、(1) JEC試験登録例より頬粘膜試料採取用キットを用いて、頬粘膜組織を採取し、検体保存用専用容器に入れて保管する。(2) 各実施医療機関で収集した頬粘膜組織は、連結可能な形式で匿名化した上で、和歌山県立医科大学に搬送して、遺伝子多型解析(ALDH2, ADH1B, CYP2A6)を実施する。(3) 遺伝子多型解析結果は、データセンター(メディカル・リサーチ・サポート)で保管する。(4) データセンター(メディカル・リサーチ・サポート)において、保管されているJEC試験登録例の臨床情報とゲノム情報を照合するという手順で実施することを決定し、平成30年3月23日に北里大学医学部・病院倫理委員会のヒトゲノム研究審査委員会に研究計画書を提出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
JEC試験では、全登録例に禁酒・禁煙指導を行っており、禁酒には異時性食道癌発生の予防効果があることを見出した(adjusted hazard ratio 0.47, 95% CI: 0.25-0.91, p=0.025)。特にGrade Cにおいて、禁酒の予防効果は顕著であった(adjusted hazard ratio 0.23, 95% CI: 0.09-0.60, p=0.003)。一方、禁煙には異時性食道癌発生の予防効果を認めなかった(adjusted hazard ratio 0.59, 95% CI: 0.29-1.18, p=0.13)。しかし、登録者に再度同意を取得し、平成29年度に観察期間を延長して再解析を実施したところ、禁煙にも異時性食道癌発生を予防する傾向があることを見出した。そこで、CYP2A6遺伝子多型解析も実施し、CYP2A6遺伝子多型別の食道癌リスク評価と禁煙効果を検討する方針とした。 平成29年度は、(1) 本研究に関する研究計画書および同意説明書を作成する。(2) 血液検体(濾紙法)収集施設からALDH2&ADH1B 遺伝子解析施設への検体の流れを構築する。(3) 本研究に関する研究計画書および同意説明書を各参加施設の倫理委員会へ提出することを予定していた。平成29年6月14日の第一回会議(会場:軽井沢プリンスホテル)において、検体の流れについて検討した。血液よりも頬粘膜組織のほうが収集しやすいと判断したため、頬粘膜組織を採取して和歌山県立医科大学に搬送し、遺伝子多型解析(ALDH2, ADH1B, CYP2A6)を実施する流れを構築した。また、本研究に関する研究計画書および同意説明書を作成し、平成30年3月23日に主管機関である北里大学医学部・病院倫理委員会ヒトゲノム研究審査委員会に研究計画書を提出した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) 患者背景因子の調査 研究対象者の臨床情報は、データセンター(メディカル・リサーチ・サポート)に保管されているJEC試験の臨床情報(年齢、性別、既往歴、内服歴、飲酒歴、喫煙歴、飲酒によるフラッシング反応の有無、食習慣、AUDIT質問票、血液検査データ(MCV,γGTP)、ヨード不染帯の程度、原発部位、深達度、発癌の有無と発癌臓器と発癌時期、治療成績)を用いる。 (2) 遺伝子多型解析 頬粘膜組織を用いたALDH2とADH1Bの遺伝子多型解析は、TaqMan Probe法によるリアルタイムPCRで実施する。CYP2A6の遺伝子多型解析は、まずTaqMan Copy Numver Variation Assayを応用した方法で全欠損型か否かを簡易判定し、その後必要に応じてRFLP(restriction fragment length polymorphism)法を用いて電気泳動法により決定する。研究対象者には解析結果の開示希望の有無を確認し、希望者にはデータセンターから各施設の担当医師に結果を報告し、各担当医から研究対象者に結果を開示する。 (3) 解析の概要 頬粘膜組織を用いたALDH2とADH1BとCYP2A6の遺伝子多型解析結果と研究対象者の臨床情報(年齢、性別、既往歴、内服歴、飲酒歴、喫煙歴、飲酒によるフラッシング反応の有無、食習慣、AUDIT質問票、血液検査データ(MCV,γGTP)、ヨード不染帯の程度、原発部位、深達度、発癌の有無と発癌臓器と発癌時期、治療成績)の相関性を検討する。データセンター(メディカル・リサーチ・サポート)においてデータセットを作成し、国立保健医療科学院で解析を行う。
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Causes of Carryover |
本研究では、データセンターにおいて以下の体制を構築する予定である。 (1) 頬粘膜組織を用いたALDH2とADH1BとCYP2A6の遺伝子多型解析結果を保管する体制を構築する。(2) ALDH2とADH1BとCYP2A6の遺伝子多型解析結果と研究対象者の臨床情報(年齢、性別、既往歴、内服歴、飲酒歴、喫煙歴、飲酒によるフラッシング反応の有無、食習慣、AUDIT質問票、血液検査データ(MCV,γGTP)、ヨード不染帯の程度、原発部位、深達度、発癌の有無と発癌臓器と発癌時期、治療成績)を照合する体制を構築する。(3) データセットを作成する体制を構築する。(4) 研究対象者のうち、遺伝子多型解析結果の開示希望がある症例については、遺伝子多型解析結果を各施設の担当医師に報告する体制を構築する。 しかし、研究計画書に規定した体制に基づいてデータセンターの体制を構築する必要があったため、平成29年度は研究計画書の完成を優先し、データセンターの体制の構築は保留とした。したがって、データセンター委託費は、次年度使用額とした。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Validation study of a health risk appraisal model and endoscopic screening for early esophageal cancer in men in specialized hospitals.2017
Author(s)
Kondo Y, Katada C, Tanabe S, Wada T, Ishido K, Yano Y, Kawanishi N, Furue Y, Yamane S, Suzuki M, Watanabe A, Azuma M, Moriya H, Yamashita K, Koizumi W, Yokoyama A.
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Journal Title
Esophagus
Volume: 14
Pages: 235-240
Peer Reviewed
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[Journal Article] Alcohol abstinence and risk assessment for second esophageal cancer in Japanese men after mucosectomy for early esophageal cancer.2017
Author(s)
Yokoyama A, Katada C, Yokoyama T, Yano T, Kaneko K, Oda I, Shimizu Y, Doyama H, Koike T, Takizawa K, Hirao M, Okada H, Yoshii T, Konishi K, Yamanouchi T, Tsuda T, Omori T, Kobayashi N, Suzuki H, Tanabe S, Hori K, Nakayama N, Kawakubo H, Ishikawa H, Muto M.
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Journal Title
PLoS One
Volume: 12
Pages: e0175182
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Risk factors for the development of dysplastic squamous epithelium in the esophagus.2017
Author(s)
Katada C, Yokoyama T, Yano T, Oda I, Shimizu Y, Tanabe S, Doyama H, Koike T, Takizawa K, Hirao M, Okada H, Yoshii T, Konishi K, Yamanouchi T, Tsuda T, Omori T, Kobayashi N, Ishikawa H, Yokoyama A, Muto M
Organizer
25th uegweek
Int'l Joint Research
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