2018 Fiscal Year Research-status Report
高齢者における日常の健康サインから超早期に軽度認知障害の予兆をつかめるか?
Project/Area Number |
17K09111
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
天野 宏紀 鳥取大学, 医学部, 講師 (80293033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦上 克哉 鳥取大学, 医学部, 教授 (30213507)
黒沢 洋一 鳥取大学, 医学部, 教授 (50161790)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 認知症 / 軽度認知障害(MCI) / 高齢者 / 主観的健康感 / 日中の過度の眠気 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、高齢者における日常の健康サイン(主観的健康感及び日中の過度の眠気(EDS))と軽度認知障害(MCI)の関連について疫学的手法により明らかにし、MCIの超早期の予測因子として簡便な評価指標である主観的健康感及びEDSを用いることの有効性を検証することである。 平成30年度は平成29年度のベースライン調査から1年後の追跡調査を実施した。平成31年1月から平成31年3月に、ベースライン調査と同様の内容(タッチパネル式コンピューターによる認知症スクリーニング機器「物忘れ相談プログラム」(日本光電工業)による認知機能スクリーニング、日本語版エプワース眠気尺度によるEDSの測定、主観的健康感を含む日常・社会生活状況調査)で行った。 ベースライン調査に参加した研究対象者158名(鳥取県A町の65歳以上の介護予防サークル参加者)のうち、1年後の追跡調査をすることができた研究対象者(1年後追跡群)は132名(ベースライン調査時の平均年齢75.1±7.6歳)、1年後の追跡調査ができなかった研究対象者(1年後非追跡群)は26名(死亡1名を含む。ベースライン調査時の平均年齢76.0±7.8歳)であった(1年後追跡率:83.5%)。1年後追跡群では、ベースライン調査時の認知機能スクリーニングによる認知機能正常者は123名であり、このうち5名が1年後の追跡調査時にMCIと判定された。またEDS測定の結果、1年後追跡群でベースライン調査時にEDSを有している者(日本語版エプワース眠気尺度の得点が11点以上の者)は6名であったが、1年後の追跡調査時には新たに5名がEDSを有していた。主観的健康感については、1年後追跡群でベースライン調査時に「あまり健康でない」または「健康ではない」と否定的な回答をした者は20名であったが、1年後の追跡調査時には新たに12名が否定的な回答をしていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実施計画」に基づき、ベースライン調査に参加した研究対象者に対して、1年後の追跡調査として認知機能及び抑うつのスクリーニング、日本語版エプワース眠気尺度、主観的健康感を含む日常・社会生活状況調査を予定どおり実施することができた。現在、データベース化および解析を進めているところである。1年後追跡率が80%台とまずまずではあったが、追跡できた研究対象者の絶対数が少ない点を除けば、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究対象者の調査研究参加率の維持のため、各サークル代表者を通して会員への継続的な調査参加協力を依頼する。また本研究の協力を得ているA町の保健福祉行政担当者からもサークル会員への調査研究継続参加の働きかけをお願いする。さらにベースライン調査には参加していたが、1年後追跡調査には不参加であった者(1年後非追跡群)については、2年後追跡調査への参加を促し、ベースライン調査からの追跡率の維持・向上のための方策をA町の保健福祉行政担当者からの協力を得て検討している。
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Causes of Carryover |
当該年度で使用する予定であった人件費において、フィールド調査の日数が事前に予想していたよりも少なかった(1日に複数の調査会場を回って、調査の効率を上げたりした)ため、調査スタッフを雇うために確保していた支出額が予定よりも減り、結果として次年度に繰り越すことになった。 「今後の研究の推進方策」のところで記したように、現在、研究対象者の調査研究継続参加率の維持・向上のため、1年後非追跡群への2年後追跡調査への参加を促すことを検討しており、当該年度よりも次年度のフィールド調査の頻度が増え、それに伴い、調査スタッフの雇用日数も増える見込みである。次年度使用額はこの調査スタッフの人件費増加分に充てる予定である。
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Research Products
(2 results)