2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K09116
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
近藤 久義 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 准教授 (00170431)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横田 賢一 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 助教 (90754622)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 空間疫学 / 生活習慣病 / 地理情報システム / 居住環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
長崎市原爆被爆者における生活習慣病の既往症有病率と個人要因と地理的要因を含む包括的環境要因の関連を検討するために、今年度は以下の作業を行った ①長崎市内7ヶ所の大気環境常時観測局の2010年から2017年までの大気汚染データに基づき、長崎市内におけるNOx、NO2、Ox、SPM、SO2の分布を作成し、解析対象集団である2010年4月1日の生存が確認され、2017年までに被爆者検診を2回以上受診し、被爆距離と既往症および喫煙と飲酒の情報が得られた長崎市原爆被爆者19,903名について、①に基づき個人ごとの大気汚染測定値を推定した ②解析対象集団における、高血圧症と脂質異常、糖尿病、肝機能検査異常、白内障、腎機能検査異常、高尿酸血症、骨粗鬆症の有病率と被爆距離および喫煙と飲酒、医療機関、薬局、食料品店、公園、ゴミ焼却施設、産廃施設、停留所、幹線道路までの距離、大気汚染測定値との関連を男女別にロジスティック回帰モデルにより評価した これらの作業を実施した結果として、以下の知見が得られた ①被爆距離増大による有病リスクの減少が示唆されたのは、男性の脂質異常症のみであった(OR=0.97) ②喫煙による有病リスクの増加が示唆されたのは、高尿酸血症と肝機能検査異常および男性の高血圧症であった ③飲酒による有病リスクの増加が示唆されたのは、高尿酸血症と男性の高血圧症と白内障、肝機能検査異常であった ④居住環境の地理的要因で有病率との関連が示唆されたのは脂質異常と内科医院までの距離のみであった ⑤居住環境の大気汚染測定値の上昇による有病率の増大が示唆されたのは、男性のOxと糖尿病、女性のNOxと白内障およびNO2と腎機能検査異常であった
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に行えなかった個人の大気汚染データ測定値の作成を実施し、本年度に予定していたロジスティック回帰による解析も実施でき、おおむね順調に進展している
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Strategy for Future Research Activity |
今年度までに検討した生活習慣病以外に、甲状腺機能障害と貧血症、腰痛症、前立腺肥大症に関しても同様の解析を実施後、得られた知見に対して専門家による知識の提供を受け,居住環境と生活習慣病との関連に関する考察を行う。さらに、研究成果について国際学会での発表および英語論文の作成と関連学会誌への投稿を行う
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Causes of Carryover |
(理由)本年度予定していた長崎市の大気汚染測定データの取得およびExcelへの入力は、当初研究補助者を雇い入れて行う予定であったが研究代表者が自ら行ったために、人件費・謝金の支出額が当初予算より少なかったため (使用計画)次年度に予定していた国内での成果発表は、国外での発表に変更する予定であり、変更に伴う旅費の超過分として支出する
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