2019 Fiscal Year Research-status Report
原爆被爆者における間接被曝の影響を明らかにするための時空間疫学研究
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17K09125
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
冨田 哲治 県立広島大学, 地域創生学部, 教授 (60346533)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 健一 滋賀大学, データサイエンス教育研究センター, 教授 (30284219)
佐藤 裕哉 下関市立大学, 経済学部, 准教授 (30452626)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 原爆被爆 / 超過相対危険度 / 都市比較 / 生物学的効果比 |
Outline of Annual Research Achievements |
島・長崎における初期放射線による固形がん超過相対死亡危険度は,放射線影響研究所によるLSS1950-2003, Report 14(Ozasa et al., Radiation Research, 177, 229-243, 2012)では,1Sv当たり42%と報告されている.一方,佐藤・冨田ら(長崎医学雑誌, 91, 197-201, 2016)は,広島大学原爆被爆者コホートデータABS1970-2010を用いて28%と報告している.これらの健康影響の評価に利用される初期被ばく線量は,原爆線量評価体系DS02)に基づいて算出されている.どちらのコホートデータにおいても,初期被ばく線量はガンマ線に10倍の中性子線を加えた線量として算出されており,この定数10は中性子線のガンマ線に対する生物学的効果比(RBE)と呼ばれている.
今年度は、昨年度検討した広島と長崎のおける固形がん超過相対危険度の2都市間の比較を継続して行った。特に、都市差が生じた原因の一つとして、中性子線の線量分布の違いに着目し、生物学的効果比(RBE)をモデルに基づき推定して分析を行った。研究成果については、第60回原子爆弾後障害研究会において発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、原爆被爆者における初期被ばく放射線による健康被害への影響のみならず、残留放射線や黒い雨などの放射性降下物などに起因する2次的な間 接被ばくによる健康被害への影響も定量的に評価するための分析手法を、時空間疫学の視点から開発を行うことにある。令和元年度は、これまで検討されてきた、原爆被爆者における原爆被爆による健康被害への影響が、広島と長崎で有意な差が認められたことについて、生物学的効果比(RBE)に着目した分析を行った。以上のことから,研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は、令和元年度に検討したLSSコホートデータにおける超過相対危険度の都市差に関する中性子線の距離別分布および生物学的効果比(RBE)に着目した分析結果を踏まえて、統計モデルの改良を行う。
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Research Products
(6 results)