2017 Fiscal Year Research-status Report
The use of site-specific risk of cerebral hemorrhage using a large-scale cohort data and to the health care demand forecast
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17K09148
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Research Institution | Chiba Prefectural Institute of Public Health |
Principal Investigator |
佐藤 眞一 千葉県衛生研究所, その他部局等, 技監 (60450920)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 靖雄 中央大学, 理工学部, 教授 (00134461)
原田 亜紀子 中央大学, 理工学部, 助教 (00451774)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脳卒中 / 脳出血 / 高齢者 / 被殻 / 視床 / 発生率 / 生存率 / JALS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の対象は、2002~2004 年にベースライン調査を実施し、現在追跡調査を継続実施している日本動脈硬化縦断研究(以下 JALS)の追跡集団(58 地域と 8 職域、118,239 名(女性 54%)、平均年齢 59.9 歳)である。 平成29年度(1年目)は、脳卒中死亡率、発症率(病型別、部位別)について性・年齢階級別(中高年(65 歳未満)、高齢者(65-74 歳、75 歳以上))に検討を行った。部位の検討においては、脳出血発症・死亡については、被殻出血、視床出血、橋出血、皮質下出血などに分類した発症率を検討した結果、男女とも被殻出血は視床出血や皮質下出血に比して若年者の発症率が高く、視床出血では加齢にとない発症率が急峻する傾向がみられた。被殻出血は若年での発症が多く、60歳未満に占める割合は男性51%、女性50%であり、80歳以上での割合は男性24%、女性28%で、高齢になるほど割合が減少した。一方、視床出血では、全視床出血に占める割合は60歳未満群で男性19%、女性14%、80歳以上群では男性32%、女性34%で高齢になるほど割合が増加した。 脳梗塞、脳出血の発症率ならびに生存率の推移について部位別の報告を行っている久山町研究、秋田県脳卒中登録の結果において、同様の報告があるが、国内の大規模コホート研究であるJALSにおいても同様の傾向が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(理由) 脳卒中死亡率、発症率(病型別、部位別)について性・年齢階級別(中高年(65 歳未満)、高齢者(65-74 歳、75 歳以上))に検討を行い、特に脳出血における性・年齢による発症部位の違いの確認が行えた。脳卒中発症(病型別、部位別)に関連するリスクファクターの寄与については、現在解析段階であり、平成30年度(2年目)前半での成果報告が可能と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度については、部位とリスクファクターの検討を継続すると共に、再発例について、初発からの期間、ベースラインリスクとの関連、死亡例については死因と初発及び再発までの期間等の検討を行う。 脳出血の被殻と視床における発症年齢の違いの検討については、腎血管においては同一血管系でも母血管から近位か遠位かの位置の違いで糸球体の病変程度が異なることが説明されていることから、径の大きな動脈から細い動脈が突然分枝し、径に不釣り合いな高圧がかかる緊張度の高い血管strain vesselを有する脳内穿通枝動脈での病理変化の違いを仮説として考えている。 解剖学的に被殻と視床の動脈は血管系が異なり、被殻の穿通枝動脈は中大脳動脈水平部から分枝するのに対し、視床は後大脳動脈系からの分枝である。両者の母血管や穿通枝動脈自体の太さの違いから、被殻の穿通枝動脈は視床の動脈に比してやや高い血圧が生じると思われ、脳内の穿通枝動脈でも被殻が視床に先行する病理変化が起きると考えられる。同じstrain vesselである被殻の穿通枝動脈は視床より早い時期に高い圧がかかり、60歳未満の若年でMicro Aneurysmが形成される結果、被殻出血は中年期に多くなると思われる。その後Micro Aneurysmは数年の期間で内腔が閉塞し終焉するものと思われる。その頃に視床の穿通枝動脈の病理変化が被殻を後追いするように進行するものと考え、このような病理変化により、被殻、橋では早い時期に視床ではそれに遅れて脳出血をきたすことにつながると考えている。このような時間的に異なる病理変化の進行に対して、競合リスクを考慮した解析についても試みる予定でいる。
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Causes of Carryover |
人件費で充当すべき職員の採用までに時間がかかり、その作業を常勤の共同研究者で穴埋めしたために次年度使用額が生じた。 次年度使用額は、人件費に充当することにより、事務局に早めに採用の手配をしてもらい、作業の充実を図る計画である。
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