2018 Fiscal Year Research-status Report
脳神経変性疾患に対する有害金属の影響とオレアノール酸配糖体リード治療薬研究
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17K09164
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
高根沢 康一 北里大学, 薬学部, 准教授 (90345257)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | メチル水銀 / 重金属 / 脳神経系変性疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
アルツハイマー症(AD)やパーキンソン病(PD)の発症は、遺伝要因だけでなく、毒物や有害金属などの外部要因の関与が示唆されている。メチル水銀(MeHg )は、水俣病の原因物質として知られる環境汚染物質であるが、我々は現在でも魚介類から日常的に低濃度MeHg にばく露されている。申請者はMeHg がオートファジーを活性化すること、このオートファジーの活性化は細胞防御機構の一つであることを明らかにした。本研究の目的は、メチル水銀をはじめとする有害金属がADやPD発症との関連性を評価すること、オンジサポニン化合物であるオレアノール酸配糖体をリード化合物として新規脳神経疾患治療薬の開発を試みることである。SH-SY5Y細胞に低濃度のMeHg を処理することにより、PDの原因となるα-シヌクレイン発現量の低下が認められた。qPCRによりα-シヌクレインmRNAを調べた結果、MeHg によるmRNAの発現抑制が認められ、MeHg がPDに影響を与えることを示唆する結果を得た。また、MeHg によるα-シヌクレインmRNAの低下はオレアノール酸配糖体の一つオレアノール酸3グルコシド(OA3Glu)の前処理により抑制されることを明らかにした。現在、SH-SY5Y細胞、A549細胞にα-シヌクレインを安定発現させた細胞の樹立に成功し、MeHgに対する感受性を検証しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していたOA3Gluのリード化合物の合成は終了している。また、研究実績の概要に記載したように培養細胞を用いた実験ではMeHgによるα-シヌクレイン発現量への影響を明らかにすることができた。これらの結果を基に、モデルマウスを用いた解析が更に進むことが期待され、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞を用いた実験においては合成が完了したリード化合物の添加によるα-シヌクレイン発現量、及びオートファジー関連因子への影響を調べる予定である。マウスを用いた実験はMPTPモデルマウスに対するMeHg及びリード化合物による影響をマウスの生存率、病理組織学的な解析、オートファジーへの影響を総合的に評価する。
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Research Products
(9 results)