2018 Fiscal Year Research-status Report
アスベスト曝露による悪性中皮腫の近赤外光線免疫療法を用いた早期診断と治療法の確立
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17K09167
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
人見 敏明 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 准教授 (90405275)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 礼子 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (30321897)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 社会医学 / アスベスト / 悪性中皮腫 / 近赤外蛍光分子イメージング / 近赤外光線免疫療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
アスベスト疾患のうち悪性中皮腫は最も深刻な健康障害を引き起こすことから強い関心が持たれている。我が国では、既にアスベストの使用は法規制により全面的に禁止されているが、しかし、アスベスト含有建材を使った老朽化した建築物は生活環境に膨大に存在している。さらに、大規模な地震による建築物の崩壊からのアスベストばく露による災害性中皮腫も確認され、アスベストばく露は新たな社会問題を発生させた。一方、悪性中皮腫に対する有効な治療法は国内外にて確立されてなく、現状ではアスベストばく露の軽減対策しか望めない状況にもある。 近年急速に注目されているがん治療法として、近赤外光線免疫療法が挙げられる。我々は、ラットにクリソタイルやアモサイトなどアスベストの腹腔内投与にて発生させるラット悪性中皮腫発症モデルを確立している。現在、近赤外光線免疫療法は悪性中皮腫に対して応用が検討されていないことから、in vitro及びin vivoでの基礎的な研究を繰り返し、悪性中皮腫に対する新たな予防医療や治療につながる革新的な技術の確立を目指している。 本研究では、近赤外光線免疫療法の基礎的研究として、ヒトやラット悪性中皮腫の細胞を用いたがん細胞膜での特異的な抗体や蛍光色素の動態評価、そして、ラット悪性中皮腫発症モデルでは、アスベストばく露による悪性中皮腫発症動物でのがん抑制遺伝子の欠失に関する基本機序の解明など検討した。これらの研究成果から、近赤外蛍光分子イメージングによる悪性中皮腫の早期診断、そして悪性中皮腫の近赤外光線免疫療法の確立につながる可能性に期待をしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究において、ラット悪性中皮腫でがん抑制遺伝子のホモ欠失に関する先行実験結果より有効な結果を得た。更に、ヒト悪性中皮腫細胞株と不死化中皮細胞を使用し、悪性中皮腫細胞膜特異的モノクローナル抗体に関する検討の結果、選定した抗体と近赤外光蛍光色素を標識した結合体およびコントロールとしたIgG抗体でも同様な結合体の作製に繋がり、目的をおおかた達成していると考えた。
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Strategy for Future Research Activity |
in vitroでのヒト悪性中皮腫細胞株および不死化中皮細胞を用いた近赤外蛍光分子イメージングの検討から至適条件が明らかになった。今後、ラット悪性中皮腫発症モデルにおいて、近赤外光線照射による近赤外蛍光分子イメージングに関する情報・知見の集積を計る。そして、近赤外光線免疫療法の確立に向けた課題を包括的に探索して整理・評価して、実用化に向けた基礎的実験の高度化を目指す。
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Causes of Carryover |
理由)平成30年度に予定していた近赤外光線免疫療法の基礎的検討の実験が延期し、その結果として研究費の使用が次年度に繰り越しになった。
使用計画)平成30年度未使用額と平成31年度助成金を併せて、近赤外光線免疫療法の基礎的検討を行い、その際に使用する細胞培養用試薬・器具、分子生物学的試薬、成果発表のための旅費、それらに付随する学会参加費に充当する。
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Research Products
(2 results)