2018 Fiscal Year Research-status Report
乳幼児のアレルギー遷延化と樹脂(プラスチック)原料複合曝露との関係
Project/Area Number |
17K09174
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
辻 真弓 産業医科大学, 医学部, 准教授 (40457601)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川本 俊弘 産業医科大学, 医学部, 名誉教授 (60177748)
荒木 俊介 産業医科大学, 医学部, 講師 (20515481)
石原 康宏 広島大学, 総合科学研究科, 助教 (80435073)
柴田 英治 産業医科大学, 医学部, 講師 (90419838)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 小児 / アレルギー / 化学物質 / 分子疫学 / 社会医学 |
Outline of Annual Research Achievements |
[目的]樹脂(プラスチック)原料は幅広い分野で取り扱われている化学物質であるが、樹脂に含まれる化学物質の曝露が小児のアレルギー遷延化に影響を及ぼしている可能性がある。昨年度の研究で小児と成人間で保有率に差が認められた樹脂原料であるビスフェノールAジグリシジルエーテル(BADGE)特異的IgG抗体値に着目した研究を本年は遂行した。 [対象と方法]乳幼児98名(男児59名、女児39名)。平均月齢6か月。卵,牛乳,小麦特異的IgE抗体並びにドットブロット法にてBADGE特異的IgG抗体値を測定した。 [結果]生後6か月時点でBADGE抗体陽性であった児は半年後に小麦特異的IgE抗体値が増加するリスクが高かった (OR = 3.56; 95% CI 1.13-11.2; P = 0.031)。 特にこの傾向は女児において強く認められた (OR = 9.46; 95% CI 1.01-89.0; P = 0.049)。 牛乳特異的IgEも同様の傾向が認められた (OR = 2.77;95% CI 0.93-8.22; P = 0.067)。 [考察]生後6か月時点のBADGE特異的IgG抗体の有無が1歳時点の小麦・牛乳特異的IgE抗体値の増加に影響を及ぼしている可能性がある。BADGE抗体陽性でかつ小麦特異的IgE抗体が上昇している児において、Th2系の炎症性サイトカインであるIL-6発現量の増加傾向が認められている。乳児期のBADGE曝露がTh2系に影響を及ぼし、IgE抗体の増加に関連している可能性があり、今回の結果が乳児期のBADGE曝露による乳幼児期のアレルギーの遷延化の可能性を示唆することができたと考える。 [結論]樹脂原料曝露と小児の食物特異的抗体との間に関係性がみられた。今後は曝露源の探求も含め、小児と成人でIgG保有率の異なった化学物質に解析を広げ、研究を施行する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対象とする化学物質の選定が行われた。また目的である化学物質曝露と小児アレルギー遷延化の関係を示唆する結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は小児期に曝露を受けやすいその他の化学物質と小児アレルギーの関係を進めていく。
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Causes of Carryover |
検体が出ない月が生じたため、人件費が当初の予定より少なくなった。今後は採血用の物品や質問紙印刷のための費用に使用する。
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