2017 Fiscal Year Research-status Report
労働者の労働生産性向上に対する職場単位で行うアクティブレストの効果検証
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17K09175
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
道下 竜馬 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 講師 (10632028)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
姜 英 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 助教 (70637595)
大和 浩 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 教授 (90248592)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 産業保健 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,「アクティブレスト」,つまり休み時間に積極的に運動を取り入れた方が疲労回復につながり,作業効率が改善するという概念が提唱されている。平成29年度は,職場単位で行うアクティブレストが職場活性度およびプレゼンティーズムの改善に及ぼす効果について検討した。ホワイトカラーならびにブルーカラーの労働者130名(男性99名,女性31名)を対象とし,職場単位で無作為に運動介入を行う群[運動介入群(n=66)]と介入しない群[観察群(n=64)]に分類した。運動介入は週に3~4回,昼休みに10分間の体操を職場単位で実施し,介入期間は8週間とした。本研究で実施した運動は,メタボリックシンドロームやロコモティブシンドロームの予防,運動実践のきっかけづくりを目的に考案した体操であり,柔軟運動~認知症予防運動(コグニサイズ)~有酸素運動~レジスタンス運動を10分間という短時間に実施できる運動プログラムである。両群ともに調査開始前後にワーク・エンゲイジメント,労働機能障害(WFun),気分プロフィール(POMS 2),職業性ストレスの調査を行った。8週間の介入後,ワーク・エンゲイジメントの「活力」,WFunは運動介入群で有意に改善し,両群間に有意な交互作用を認めた。運動介入群におけるWFunの変化量は,POMS 2の「疲労-無気力」,職業性ストレス簡易調査の「身体愁訴」と正の相関を認め,POMS 2の「活気-活力」,ワーク・エンゲイジメントの「活力」と負の相関関係を示した。本年度の結果より,昼休みに職場単位でアクティブレストを行うことは,職場活性度を高め,プレゼンティーズムの改善に有効であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は,ホワイトカラーならびにブルーカラーの労働者を対象に職場単位で行うアクティブレスト(10分間の集団運動) の介入を行い,昼休みに職場単位でアクティブレストを行うことは,職場活性度を高め,プレゼンティーズムの改善に有効であることを明らかにした。 当初の計画どおり進捗しており,おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は,異なる事業所で他職種の労働者60名以上を目標に前年度と同様の手法で介入研究を実施し,職種の違いによる運動介入効果の差異を検証する。プレゼンティーズムに影響を及ぼす生活習慣として,これまでに睡眠不足や睡眠の質の低下などの因子が関与することが報告されていることから,アクティブレスト(10分間の集団運動) による睡眠の質の改善効果についても併せて検証する。さらに,前年度に介入した対象者には,自主的に運動を継続してもらい,介入終了後6ヶ月,1年に身体組成,血圧,気分尺度,職業性ストレス,プレゼンティーズムの調査を実施するとともに,運動継続率の追検討も行う予定である。 また,複数の企業を対象としたコホート研究を実施し,座位行動や身体的不活動がプレゼンティーズムに及ぼす影響についても検証する予定である。
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