2018 Fiscal Year Research-status Report
労働者の労働生産性向上に対する職場単位で行うアクティブレストの効果検証
Project/Area Number |
17K09175
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
道下 竜馬 福岡大学, スポーツ科学部, 准教授 (10632028)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
姜 英 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 助教 (70637595)
大和 浩 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 教授 (90248592)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 産業保健 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで,プレゼンティーズムは睡眠障害による影響を受けることが多数報告されているが,職場単位で行うアクティブレストが労働者の睡眠状態を良好にし,プレゼンティーズムを改善させるか否かは明らかにされていない。2018年度は,職場単位で行うアクティブレストが労働者の睡眠状態,プレゼンティーズム改善に及ぼす効果について検討した。 ホワイトカラーの労働者60名(男性49名,女性11名)を対象に,職場単位で無作為に運動を実施する群[運動介入群(n=30)]と実施しない群[観察群(n=30)]に分類した。運動介入は週に3回,昼休みに10分間の体操を職場単位で実施し,介入期間は10週間とした。本研究で実施した運動は,メタボリックシンドロームやロコモティブシンドロームの予防,運動実践のきっかけづくりを目的に考案した体操であり,からだほぐし運動~有酸素運動~レジスタンス運動~柔軟運動を10分間という短時間に実施できる運動プログラムである。両群ともに調査開始前後に形態・身体組成,血圧測定,睡眠状態(ピッツバーグ睡眠質問票[PSQI]),労働機能障害(WFun)の調査を行った。 10週間後,WFun,PSQI総合得点,入眠潜時,睡眠の質,睡眠障害は運動介入群で有意に改善し,いずれも両群間に有意な交互作用を認めた(p<0.05)。運動介入群におけるWFunの変化量はPSQI総合得点(r=0.39,p=0.03),睡眠の質の変化量(r=0.41,p=0.03)と有意な正の相関関係を認め,PSQI総合得点と睡眠の質が改善したものほど,WFunが改善することが示された。 2018年度の結果より,昼休みに職場単位で運動を行うことは,労働者の睡眠の質やプレゼンティーズムの改善に有効であることが明らかとなった。また,プレゼンティーズムの改善には,睡眠の質の向上が関連することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度は,ホワイトカラーの労働者を対象に職場単位で行うアクティブレスト(10分間の集団運動)の介入を行い,昼休みに職場単位で運動を行うことは,労働者の睡眠の質やプレゼンティーズムの改善に有効であり,プレゼンティーズムの改善には睡眠の質の向上が関連することを明らかにした。 当初の計画どおり進捗しており,おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は,異なる事業所で他職種の労働者60名以上を目標に前年度と同様の手法で介入研究を実施し,職種の違いによる運動介入効果の差異を検証する。 これまで,いくつかの研究においてホワイトカラーの労働者を対象に職場での軽運動やストレッチの実践,人間工学的作業改善が筋骨格系障害の改善やストレス軽減に効果的であることが報告されているが,作業姿勢が長時間固定される旅客運送業(タクシーやバス運転手)に対するアクティブレストの導入が腰痛軽減やプレゼンティーズムの改善に有効であるか否かは明らかにされていない。2019年度は,旅客運送業(タクシーやバス運転手)に対するアクティブレスト(10分間の集団運動)の導入が腰痛軽減とプレゼンティーズムの改善に及ぼす効果について検証する。 また,複数の企業を対象としたコホート研究を実施し,座位行動や身体不活動がプレゼンティーズムに及ぼす影響についても併せて検証する予定である。
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Causes of Carryover |
研究代表者の所属の移動に際し,研究分担者への研究費の配分に関する事務手続きが遅れてしまったため,研究分担者の当該年度の使用ができなかった。
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