2017 Fiscal Year Research-status Report
国連平和維持活動に従事する自衛隊員のメンタルヘルスに関する調査研究
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17K09181
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
清水 邦夫 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 防衛医学研究センター 行動科学研究部門, 教授 (00531641)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長峯 正典 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 防衛医学研究センター 行動科学研究部門, 准教授 (70725217)
重村 淳 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 病院 精神科, 准教授 (90286576)
早野 貴美子 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, その他, 教授 (40759031)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | レジリエンス / 国連平和維持活動 / TRS / K6 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、日本で開発されたTachikawa Resilience Scale (TRS、立川レジリエンス・スケール)が、陸上自衛隊において有用なレジリエンス評価尺度であるか否かを検証するため、国際平和協力活動の一環として国連平和維持活動(PKO)に参加した陸上自衛隊員を対象として、TRSとResilience Competence Scale 日本語短縮版 (RCS-JS) を用いてレジリエンスの評価を行った。 まずは、探索的因子分析 (EFA) および確認的因子分析 (CFA) を行い、TRSの因子構造及び適合度を確認した。さらに、Kessler Screening Scale for Psychological Distress (K6、ケイ・シックス) 日本語版を用いて当該隊員の全般的心理的苦悩を評価し、相関分析および階層的重回帰分析により構成概念妥当性を検証した。 EFAによりTRSの1因子構造が確認され、CFAにより良好なモデル適合 (CMIN/df = 1.409, CFI = 0.994, RMSEA = 0.038) が示された。TRS、RCS-JSはともにK6と有意な負の相関を示し、階層的重回帰分析にてTRSは、RCS-JSと同等の標準回帰係数を示した。TRSのCronbach α係数は0.90であった。 これらの結果より、陸上自衛隊におけるレジリエンス尺度として、TRSの信頼性及び妥当性が確認され、有用な尺度であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、全般的精神健康度を測るGHQ30(精神健康調査票)を用いて、TRSの構成概念妥当性等について解析する予定であったが、このGHQ30をK6(全般的心理的苦悩を評価する心理スケール)に変更してTRSの妥当性等に関する集計や解析を行った。それでも概ね順調に実施できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度に得られた集計・解析結果に考察等を加えて、30年度の国内および国際学会において報告する予定である。また、学会発表を終えた知見について、英文誌への論文投稿の準備を行う。 新たな国連平和維持活動が開始される場合に備えて、従来実施してきたアンケート項目や心理検査の見直し等を検討する。
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Causes of Carryover |
当初の計画では、今後も継続される予定であった国連平和維持活動(PKO)に派遣される自衛隊員のメンタルヘルス調査に関して、各級指揮官や参加隊員等に対して研究趣旨の説明や同意を得るため、防衛省本省や全国の方面総監部等に研究者らが出向く必要があり、そのための旅費が計上されていた。しかしながら、諸般の理由により、当該PKO活動への派遣が急に、予期なく終了されたため、当初予定していた旅費等の支出額を減額することができ、次年度使用額が生じた。 30年度は、29年度に得られた集計・解析結果に考察等を加え、国内および国外の学会において発表する予定であり、本研究の研究者や研究協力者らが参加するため、これらの旅費・参加費として充当する。また、学会発表内容を国際誌へ学術論文として投稿する予定であるため、これに関する諸費用としても充当する予定である。
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Research Products
(3 results)