2018 Fiscal Year Research-status Report
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17K09185
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Research Institution | Osaka Institute of Public Health |
Principal Investigator |
阿部 仁一郎 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 微生物部, 総括研究員 (10321936)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高島 康弘 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (20333552)
森部 絢嗣 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (50456620)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 食品衛生 / 寄生虫 / 住肉胞子虫 / ジビエ |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の解析で、岐阜県産ホンシュウジカには遺伝的に異なる5タイプの住肉胞子虫が寄生し、うち1つのタイプは海外で報告のあるSarcocystis pilosaであり、他の4タイプは新種の可能性があることを示した。今年度は、同地域で採取されたホンシュウジカの追加の53検体(53個体分の横隔膜)を検体として、そこからの住肉胞子の分離と形態観察および遺伝子解析を行った。その結果、53検体から220個の住肉胞子を分離した。代表者らが開発した簡易なタイプ分け手法のマルチプレックスPCRにより、タイプ1は53個体中50個体(94.3%)が陽性で、タイプ4、2、5、3のそれらは各々54.7%、41.5%、18.9%、15.1%であった。また7個体からの11個の住肉胞子はタイプPCRで陰性であったが、うち1個はこれまで国内で1例のシカと1例のカラスの腸管内容から検出されていたSarcocystis ovalisであり、他は5タイプと異なるが海外で報告のあるSarcocystis taeniataに近縁な種類であった。2種タイプまたは3種タイプによる混合感染が22または20個体のシカで確認され、同地のホンシュウジカには複数タイプが混合感染していることを確認した。さらに最も感染率の高いタイプ1は2つに分類され、それらは胞子壁の形態にも差を認めたことから、タイプ1には遺伝的にわずかに異なるものの、胞子壁等の形態に差を認める2つのサブタイプの存在を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
住肉胞子の形態観察とその遺伝子解析に時間を要し、追加のタイプ特異プライマーの設計と応用、リアルタイムPCR試薬の開発、ジビエ市販品における疫学調査等まで研究内容を進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
①豚コレラ流行状況にもよるが、検体採取が可能な場合は、岐阜県内の県境付近のシカ(本州以外から導入された可能性がある個体群)の検体について調査し、分離株の遺伝子解析と形態観察を行って新たなタイプの存在を明らかにする。 ②食中毒の原因となる可能性が高いタイプ1等について、その単胞子あたりのブラディゾイト数を算出する。 ③追加のマルチプレックスPCR用プライマーの設計とより簡易に住肉胞子の種鑑別を可能とするリアルタイムPCR試験系を構築する。 ④市場に流通するジビエ商品における住肉胞子の疫学調査(分類、虫体の生死等)を行う。 ⑤住肉胞子虫遺伝子の糞便からの検出方法を検討する。
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Causes of Carryover |
遺伝子解析試薬等の購入において、商品によっては当初の予定額よりも納品額が抑えられたことから端数が生じた。次年度使用額については、診断用遺伝子解析試薬の購入に充てる。
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Research Products
(3 results)