2019 Fiscal Year Research-status Report
凍結胚移植法による出生児の身体的発育と神経行動学的発達に関する研究
Project/Area Number |
17K09188
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮内 尚子 東北大学, 医学系研究科, 技術補佐員 (60596162)
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Project Period (FY) |
2018-02-28 – 2021-03-31
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Keywords | 不妊治療 / 胚盤胞移植(FET) / 胎盤 / 低分子RNA(miRNA) |
Outline of Annual Research Achievements |
近年のART治療では、新鮮胚移植より凍結胚移植(FET)が主流となってきている。凍結胚移植により、妊娠率は向上し、流産率は減少している。しかし、巨大児や癒着胎盤の頻度の増加なども報告されており、児への安全性評価は未だ正確になされていない。一方で、エピゲノムの分子機構として、胎盤特異的microRNA(miRNA)の存在が知られている。miRNAは、21~25塩基のRNA分子で、特定の遺伝子に結合することで発現を抑制する機能を有している。また、胎盤絨毛のエキソリームより、母体血中に取り込まれるため、胎盤(胎児)の機能を評価する指標として有用である。つまり、早産、妊娠高血圧症候群の病態解明の手掛かりとなる。本研究では、新鮮胚と凍結胚により妊娠し、出産時満期(39-40週)の胎盤のmiRNAの発現を網羅的に比較し、その表現型との関連性について検討した。その結果(1)FET由来胎盤にユニークなmiRNAの発現をボルケーノブロット解析にて明らかにした(39遺伝子)(2)インプリンティング領域(C19MC)のmiRNAとDNAメチル化に変化がみられた(MEG-3-DMR,C19MC-DMR)(3)GO解析より胎児、胎盤への成長、代謝、細胞移動などに関与する遺伝子がリストアップされた(4)Pathway解析より2型糖尿病や様々な癌と関連する経路が変化することが明らかとなった。胚の凍結操作により、miRNAを含むエピゲノムの違いにより、特にインプリントが確立、維持される時期の初期の胚を取り扱う際は、インプリント遺伝子の発現調節に変化がみられることが示された。今後、このエピゲノムの変化が、出生児にどのような身体的、精神的、社会的な影響をもたらすのか長期的なFollowが必要であると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はほぼ計画通りに進み、2報の論文を投稿した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も引き続き、FET出生児の調査を継続、胎盤試料のエピゲノム解析を行っていく。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] The risk of secondary sex ratio imbalance and increased monozygotic twinning after blastocyst transfer: data from the Japan Environment and Children’s Study2019
Author(s)
78.Hattori H, Kitamura A, Takahashi F, Kobayashi N, Sato A, Miyauchi N, Nishigori H, Mizuno S, Sakurai K, Ishikuro M, Obara T, Tatsuta N, Nishijima I, Fujiwara I, Kuriyama S, Metoki H, Yaegashi N, Nakai K, Arima T; Japan Environment Childrens Study Group.
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Journal Title
Reproductive Biology and Endocrinology
Volume: 17
Pages: 27
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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