2017 Fiscal Year Research-status Report
東日本大震災により低下したIQはその後キャッチアップするか
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17K09190
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
龍田 希 東北大学, 医学系研究科, 助教 (40547709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲井 邦彦 東北大学, 医学系研究科, 教授 (00291336)
村田 勝敬 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80157776)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 東日本大震災 / 知的能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、東北地方の沿岸部を調査地とし、平成15年より749組の母子の協力を得て、出生コホート調査を進めてきた。調査を継続している最中である平成23年3月11日に東日本大震災が発生し、対象地域は、地震及び津波により甚大な被害がもたらされた。震災発生時には、生後84ヶ月児を対象に知能検査などを進めている途中であったことから、震災前に調査を実施した群と震災後に実施した群が発生した。その2群を比較したところ、震災前群と比較すると、震災後群の子どもで言語性IQの低下が観察された(Tatsuta et al. J Pediatr 2015; 167: 745-751)。この子どもたちが5年後の12歳で再び知能検査を実施している。そこで、本申請では、①IQの低下が一時的なものなのか、②IQが低下していた子どもの特徴を横断的に検証することを研究目的とする。 平成29年度には、出生コホート調査に登録された144ヶ月児を対象とした知能検査を対面調査法で実施した。また、震災の被災状況やストレスに関するアンケートも実施した。調査は順調に進めることができた。知能検査で算出された知能指数(IQ)が70以下(2SD)の場合や、行動面などの違和感を感じた場合には、対象母子と連絡を取り、希望者には心理支援や専門の医療機関を紹介した。 平成30年度で知能検査は完了する計画である。調査が完了したら、評価の確認、データの入力、データの精査を進め、データベースを構築する。その後、統計解析を行う計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成29年度には、出生コホート調査に登録された144 ヶ月児の知能検査を実施した。また、震災の被災状況やストレスに関するアンケートも実施した。これは計画通りであり、順調に進めることができた。平成30年度で調査は完了する計画である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度には、知能検査および質問票調査を継続する。平成30 年度内に調査が完了する計画である。そこで、調査終了後には、生後144 ヶ月調査で得られたデータの入力やダブルチェック、データの精査を進め、データベースを構築する。これが完了したら、統計解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
物品費に関しては、統計ソフトの購入を考えていたが、初年度に統計解析は行わなかったため購入しなかったことから、予定よりも残額が増えた。人件費については、調査を実施するために計上していたが、研究者が担当したために残額が増えた。今後、データ入力やデータの精査などを行う計画であることから、来年度に繰り越すこととした。
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