2017 Fiscal Year Research-status Report
長期ひきこもりと現支援の有効性の検証と新たな支援システム開発
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17K09191
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
ヨン キム・フォン・ロザリン 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40771796)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 久長 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70205855)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ひきこもり / インターネット依存 / 自殺因子 / 長期化ひきこもり / 精神リハビリテーション / 社会復帰 / 公衆衛生実践学 |
Outline of Annual Research Achievements |
①量的調査「ひきこもりの特徴」:協力団体と打ち合わせした結果、このプロジェクトの目的を達成するため、当事者と親からの情報収集だけではなく、行政と支援者の実態調査も必要と判断した。また、回答者の負担を考慮し、新しい調査を始める前に、既に行ったひきこもりの研究データを疫学的に再分析するべきであると判断した。また、内閣府の2010年ひきこもり実態調査データの二次分析調査を行い、ひきこもり群は、ひきこもりでない群より、自殺・自傷傾向が強い、知り合いと会うのは非常に不安、家族に対して罪の意識を感じている、ということを明らかにした。子どもの頃の親の過保護や家族関係の乏しさも有意に関連した。その内容は2017年7月に第29回国際自殺予防大会と第4回国際公衆衛生学会で口頭発表した。 ②質的調査「自主性ピアサポートと長期ひきこもりの回復」:2017年4月から、研究代表者が関わっているひきこもりのリハビリテーション現場において、自主性により長期ひきこもりから脱出する可能性について、調査に着手した。その内容は同年11月に日本精神障害者リハビリテーション学会第25回にて発表した。 ③質的調査「現支援の有効性や実効性」:2018年3月に「日本・香港のひきこもり支援 交流会」を主催し、両地域から約70名の参加者が集まり、両地域のひきこもりの状況の類似点と相違点を検討した。また、行政・支援者・親・当事者の4つのフォーカスグループで、現支援の有効性や支援とニーズの不一致を検討した。 ④海外量的調査「学童と思春期におけるひきこもり親和性及び自傷行為」:2017年7月に、内閣府の2010年ひきこもり実態調査の結果を用いてマレーシアの学校にパイロット調査を行った。参加者は16才~17才、総計141人。パイロット調査の結果は2018年3月に、当該学校において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の実施状況は、当初のプランと若干変更したが、様々な立場の協力者の助言を得ながら進めることでより良い研究になると考えている。量的調査と質的調査は同時に進行することによって、豊富にデータになり、包括的な分析が期待できる。 また、内閣府のひきこもり実態調査の結果を用いて、海外で高校生の調査を展開したことで、日本の学童の状況との対照が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
この研究の最大の特徴は、支援現場を踏まえながら展開していることである。研究が主観に偏らないように、これからも様々な分野の方々と交流しながら、進めていきたい。今後、国際共同研究のために、国内の支援現場だけではなく、海外の支援現場も踏まえながら、ひきこもりの定義の再検討やひきこもり尺度の開発も視野にいれるべきと考えている。 質的調査「自主性ピアサポートと長期ひきこもりの回復」の第一次検証は2018年12月に予定している。質的調査「現支援の有効性や実効性」のテープ起こし作業は2018年11月まで完成し、分析は12月から始める予定である。また、海外量的調査「学童と思春期におけるひきこもり親和性及び自傷行為」の結果を検討し、2018年7月に再び調査を行う予定である。
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Causes of Carryover |
研究計画全体に変更はないですが、当初予定していた調査の実施する順番を変更したため、次年度使用額が生じた。次年度は、さらにインタビュー調査への協力者をリクルートし、フィールド調査及びインタビューの実施と結果分析、研究成果報告や学会発表などのために使用予定である。
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Research Products
(9 results)