2017 Fiscal Year Research-status Report
レセプト等既存データを活用したマルチレベル解析によるジニ係数と気分障害発症の関連
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17K09195
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
藤田 美鈴 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教 (00301680)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
羽田 明 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (00244541)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 診療報酬明細書 / ジニ係数 / マルチレベル解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
対象としている国民健康保険被保険者の2013年4月から2016年3月に提出された医科入院外レセプト(のべ6,071,964件)、医科入院レセプト(のべ136,271件)、2012年度国民健康保険資格及び所得情報(249,308件)を用いて解析用データセットを作成した。近隣レベルのGini係数を求めるため、ArcGIS ver.10.5.1を用いて徒歩30分圏内のGini係数を求めた。所得の分布は、株式会社ゼンリンジオインテリジェンスが販売している「年収階級別世帯推計町丁・字等別データ2013」を、道路網データはesriジャパン株式会社が販売している「ArcGISデータコレクション道路網千葉県版2016」を用いた。医療機関へのアクセスの良さの指標は、医療経済機構が公開している全国保険医療機関一覧(2014年度版)を用いた。 2012年度中ずっと国民健康保険に加入していた20-69歳の被保険者は159,812人であった。そのうち、住所が不明であった204人、徒歩2012年度中に既に「気分障害」のレセプトを有してた5,288人、完全に追跡できなかった41,394人は対象から除外し、最終解析対象者は112,926人とした。追跡期間3年間の間に、新たに「気分障害」のレセプトを発生させた人は1,581人(1.4%)であった。 来年度以降は、マルチレベルロジスティック回帰(1次レベル:地域、2次レベル:世帯、3次レベル:個人)を用いて、Gini係数と気分障害発生の関連を調べ、近隣レベルの地域内格差が精神疾患の発生にかかわるか否か明らかにする。さらに、世帯レベルの所得とGini係数の交互作用も明らかにし、近隣レベルの地域内格差の影響が、世帯の所得により異なるか否かも明らかにする。結果をまとめ、論文として公表することを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」の改訂に伴い、当該自治体との協議の結果、2017年度のデータ提供は行われないこととなった。したがって、本研究に使用するレセプト等のデータは、2016年3月提出分までとする。解析データは既にそろっているため、蓄積されたデータを用いて解析用データセットの作成を終えた。解析対象者の選定、データクリーニングを今年度実施したため、今後は最終的な統計解析と論文作成を残すのみとなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
マルチレベル解析を用いて、ジニ係数で判断した地域内格差と気分障害の発生の関連を明らかにする。結果をまとめ、論文として公表する準備を行う。
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Causes of Carryover |
「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」の改訂に伴い、当該自治体との協議の結果、2017年度のデータ提供は行われないこととなった。想定していたシステム改修を実施する必要がなくなった。解析用データは既に蓄積されている状態であるので、論文作成および学会発表を前倒しで実施していく予定であり、来年度はその費用が必要となる。
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