2017 Fiscal Year Research-status Report
ネットワーク理論に基づくABMによる複雑系シミュレーションモデルと医師分布予測
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17K09196
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
豊川 智之 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 准教授 (40345046)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 医師分布 / 医師供給 / Agent Based Modeling / ネットワーク分析 / 健康医療政策 / GIS |
Outline of Annual Research Achievements |
医師の行動特性に着目したAgent Based Modeling(ABM) によるシミュレーションモデルを構築し、北海道における医科診療所分布の推定を試みた。 【方法】ABMの構築には、オブジェクト指向型プログラミングJavaにより、統合開発環境Eclipse上でABMのためのプラットフォームRepastを用いた。モデルの基本構造として、人口情報を含んだグリッド状に構成される空間上を医師としてのAgentが上下または左右に無作為に移動し、診療所開設適切地を見つけるものとした。地域は、地理的に独立した北海道をモデルに選択した。ArcGISを用いて各医師の位置情報から周辺地域人口と医師数、医師当り人口を求め、個人特性(出身大学)別・主たる勤務先の診療所・病院別の中央値を求めた。人口分布は2015年の人口メッシュデータ、医師分布は、民間のマーケットリサーチ企業が所有するデータベースに登録されている2014年3月時点診療している医師を対象に、診療先施設郵便番号を位置座標に変換した。観察期間は100ターン、10ターンごとに25医師を無作為に配置し、医師寿命は観察期間終了までとした。 【結果】道内大学出身者の割合が63%、診療所対人口の期待値を540(道外)と574(道内)としてシミュレーションした。100ターン経過後医師2500人、うち診療所開設医師数2109人(84.4%)、道内大学出身者1553人(62.1%)、うち診療所開設医師1333人(85.8%)であった。Gini係数は0.168であった。シミュレーションを反復すると、初期値が同じでもGini係数で0.03程度のばらつきが見られた。 【結語】初期値が同じであってもばらつきが見られた。幹線道路、診療科や病院の施設環境、医師間・病診間連携ネットワーク、都市部選好などを追加したモデルの構築を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画に有る、文献学的研究、医師の現状分析、基本モデルの構築を行い、その成果は学会報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、平成29年度に作成した基本モデルを発展させ、ネットワーク分析を追加したシミュレーションモデルを構築するとともに、医師分布におけるスモールワールド特性の検証分析を実施する。米国サンタフェ研究所の下記研修に参加し、ネットワーク理論対応のABM技能を修得する予定である。
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Causes of Carryover |
2年次に計画している海外技術研修でのパソコン環境を設置したほうが、より理想的な研究環境を構築できるため、設備投資のための物品費の消化が延期になったため
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Research Products
(1 results)