2021 Fiscal Year Research-status Report
妊娠高血圧症候群の発症予防を目的とした解毒酵素遺伝子と嗜好品摂取との相互作用解析
Project/Area Number |
17K09197
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
能仲 太郎 新潟大学, 医歯学総合病院, 客員研究員 (10725790)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高桑 好一 新潟大学, 医歯学総合病院, 教授 (80187939) [Withdrawn]
山口 雅幸 新潟大学, 医歯学総合研究科, 特任准教授 (20529771) [Withdrawn]
本多 啓輔 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任講師 (50769453) [Withdrawn]
加嶋 克則 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任教授 (50345500)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 妊娠高血圧症候群 / 遺伝子多型 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、妊娠高血圧症候群の発症群と非発症群において、症例-対照研究のデザインで解毒酵素の遺伝子多型解析を行い、遺伝子多型と嗜好品摂取との相互作用を明らかにして、妊娠高血圧症候群の発症リスクの解明を目指す研究である。本研究の成果によって、妊娠高血圧症候群発症の高リスク群をあらかじめ抽出し、適切な生活指導を行うことで、妊娠高血圧症候群の発症を予防できる可能性がある。 令和3年度は研究の5年目となり、前年度と同様に症例の集積に重点を置いた。その結果令和4年3月31日までに妊娠高血圧症候群症例92例、正常コントロール症例108例において、研究への同意が得られた。 これらの症例において、妊娠中の嗜好品摂取状況についてアンケート調査を実施した。具体的にはタバコ吸引、アルコールおよびコーヒー飲料摂取状況について、摂取期間・摂取量・摂取物の銘柄などを可能な限り具体的かつ詳細に聴取した。 また、アンケート調査の実施とともに、末梢血を10㏄採取し、単核球を分離した後、phenol-chloroform法によりGenomic DNAを抽出した。このGenomic DNAを用いて、上述の嗜好品に含まれる毒性物質の解毒酵素であるCYP1A1、GST-π、GST-μ、GST-θの各酵素の遺伝子多型をPCR-RFLP法により判定した。 今後は、引き続き妊娠高血圧症候群症例の集積を行い、目標症例数(100例)に到達した時点でデータ解析を実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究では、妊娠高血圧症候群症例、正常コントロール症例ともに100症例を目標に設定しており、正常コントロール症例では目標症例数に到達したが、妊娠高血圧症候群の症例数は92例にとどまっており、症例の集積が当初の予定よりも遅れている。 症例の集積が遅れた理由として、最近2年間において当科で管理した妊娠高血圧症候群症例が年間20症例程度にとどまっていたことに加え、医局の指示に基づく研究責任者の急な異動により、研究環境が悪化したことが考えられる。 一方、現時点であと8症例の集積によって妊娠高血圧症候群症例の目標症例数に到達することから、残りの1年間で当初の目標を達成することは不可能ではないと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの5年間に引き続き、症例の集積を行い、目標症例数への到達を目指す。 到達した時点でデータ解析を実施する。具体的には、まず症例-対照の両群間でCYP1A1、GST-π、GST-μ、GST-θの各遺伝子多型頻度を比較する(背景の比較)。 次いで、各嗜好品の摂取について摂取量、摂取期間などから両群間でグループ分けを行い、各グループにおいて各遺伝子多型頻度を解析する。 以上の解析により、妊娠高血圧症候群発症における解毒酵素遺伝子多型に関連した高リスク因子を抽出し、さらに発症予防のための適切な生活指導などにつき検討し、得られた解析結果および知見を論文にまとめ発表する。
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Causes of Carryover |
配分された予算については、主として研究遂行に当たり必要である消耗品の購入経費として計上したが、過去5年間は症例の集積に重点を置いたため、消耗品の消費が当初の計画よりも少なかったことに加え、研究に使用する機器(電気泳動装置、サーマルサイクラー等)については、すでに新潟大学大学院医歯学総合研究科(産科婦人科)に設置されている機器を使用したため、次年度使用額が生じた。 一方、本年度は消耗品の購入頻度が大幅に増えることが予想され、さらに研究に使用する機器(PCR増幅装置、電気泳動装置)を購入する予定であること、さらに本研究で得られた成果を日本生殖医学会、ヨーロッパ生殖医学会にて発表予定であり学会参加費を経費として計上予定であることから、次年度使用分と本年度請求分の助成金を合わせて本年度に使用する予定である。
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