2019 Fiscal Year Research-status Report
一般住民・医師の抗菌薬の適正使用に影響する要因の検討:知識・態度・行動に着眼して
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17K09202
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
土橋 酉紀 国立感染症研究所, 感染症疫学センター, 主任研究官 (00760018)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
具 芳明 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 情報・教育支援室長 (30622526)
谷原 真一 久留米大学, 医学部, 教授 (40285771)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 抗菌薬 / 薬剤耐性菌 / 適正使用 / 質問紙票調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
薬剤耐性菌は世界的に増加し、世界保健機関(WHO)の重要課題となっている。日本も2016年4月「薬剤耐性対策アクションプラン」を策定した。プランに掲げた対策の1つとして、国民の知識と理解の増進が必要とされている。しかし、日本における施策立案と、耐性菌へどのようなアプローチを行うべきか判断するための科学的根拠を示す研究はわずかしか見当たらない。 本研究では、抗菌薬の適正使用の推進に欠かせない一般住民、医師、抗菌薬使用実態の3点から包括的に研究する。これにより、抗菌薬の適正使用に対する知識、態度、行動の現状を把握し、行動への影響を評価することにより行動変容をもたらす要因を探索する(KAP study)とともに、抗菌薬処方の実態と不適正使用を減らすための要因を明らかにすることとしている。 本年度は、広島県呉市、東広島市、庄原市の住民を対象とした意識調査データの解析を行った。結果、抗菌薬に対する正しい知識を持つことが抗菌薬の適正使用に関連していることが示唆された。かぜの時の抗菌薬服薬希望について、明らかな男女差、年齢差がはなく、適正使用に直結した知識が実際の行動に関連していた。また、情報源は、年代により異なるため、テレビ、新聞、インターネット、医師など複数のルートで普及啓発活動を行うのが望ましいと考えられた。さらに、呉市、東広島市、庄原市の医師を対象とした意識調査データの解析を行った。結果、病院医師と診療所医師の抗菌薬処方行動は異なっていたことから、専門職に対する薬剤耐性の研修は、それぞれの処方行動を踏まえて行うことが必要と考えられた。さらに、関係機関の調整を行い、診療報酬明細書に関する研究データを入手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究2年目に、代表者の変更により、再度倫理審査委員会の承認を得ることが必要であったこと、また平成30年調査対象地区が激甚災害に見舞われたこと荷より、調査実施開始が予定よりやや遅れた。また、診療報酬明細書データの入手手続きに計画以上の期間が必要となったことも遅れた原因の一つであった。
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Strategy for Future Research Activity |
実施した質問紙票調査結果の解析を引き続き実施する。また、診療報酬明細書データの解析も行う予定である。
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Causes of Carryover |
主に、学会参加登録費、学会参加旅費、分担研究者間の打ち合わせ会議のための旅費等として使用する計画である。
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