2017 Fiscal Year Research-status Report
ベイジアンネットワークを用いた知識学習型接触者健診モデルの構築
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17K09222
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Research Institution | 公益財団法人結核予防会 結核研究所 |
Principal Investigator |
内村 和広 公益財団法人結核予防会 結核研究所, 臨床・疫学部 疫学情報室, 副部長 (30247283)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河津 里沙 公益財団法人結核予防会 結核研究所, 臨床・疫学部, 研究員 (10747570)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 結核 / 接触者健診 / ベイジアンネットワーク / 知識学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
効率的な接触者健診実施のために、これまでに実施された各保健所での接触者健診についての情報を知識として集積、学習していくことが有効と考え、その方法を開発している。本年度は健診対象者の属性情報をもとにした接触者健診モデルをベイジアンネットワークの手法を用いて構築を行なうための基本モデルの構築を行ない、接触者健診実施数とそこから発見された患者数や、IGRAによる結核菌感染陽性者数などを、初発患者、および接触者の属性別による条件付き確率の情報として蓄積することで、新たに行なわれる接触者健診での拡大の意思決定を、健診を拡大した場合に発見される患者や結核菌感染陽性者数を様々な条件下での事後確率として推定するよう進めた。 今年度は主に、潜在性結核感染症の発見のための感染診断の部分についての基本部分のモデル化を完了し、シミュレーションデータでの分析を行なったが、IGRA検査の感度92.6%、特異度98.8%としたときの1%の感染集団に対し行なった場合の陽性的中度を無情報時の43.8%から濃厚接触度数(濃厚:非濃厚の感染危険が10:2)、外国出生情報(外国出生とそれ以外でのリスクを10:3、高蔓延国出生を想定)などの設定で89.1%にまで精度が上昇することなどの結果を得た。 また、実地データ収集のための保健所協力を、研究内容の説明、期待できる効果などを説明することで進め、現在各保健所での接触者健診情報の管理方法、記録項目などを同時に調査した。これにより、なるべく保健所での日常業務への負担が過度にならないような研究実施のためのプロトコルへの改定を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度は協力保健所への研究協力要請と研究内容説明と、ベイジアンネットワークを用いた接触者健診モデルの構築を進めた。協力保健所は5保健所を目標として、訪問説明、学会などの開催時に個別説明などを行なったが、目標数に達していない。 ベイジアンネットワークモデルの潜在性結核感染症の発見のための感染診断の部分についての基本部分のモデル化とシミュレーションデータによる分析を行なった。
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Strategy for Future Research Activity |
保健所の参加協力を、学会や研究会の場を通じてさらに進めると同時に、実データの収集方法などを詰めていく。また、保健所との協議を経て研究プロトコル完成と倫理審査通過を進める。同時にベイジアンモデルの構築を進め、保健所からのフィードバックを含め精緻化していく。 今年度は、ベイジアンネットワークの分析ソフトウェアを購入し、協力保健所への利用のインストラクションも行なう。
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Causes of Carryover |
今年度は主に、保健所への協力要請と説明のための旅費に計上していたが、対象が関東近辺の保健所ということや、学会等での接触もあったこともから当初予定額を使用に至らなかった。 次年度も引き続き、協力要請と研究説明を行なうが地域的に拡大することも考慮している。また、残額はベイジアンネットワークのソフトウェア購入へ充てることも考慮している。
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