2018 Fiscal Year Research-status Report
生活者としての高齢者を支える標準化された看護・介護ケア情報の構造化と連携
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17K09239
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
宇都 由美子 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (50223582)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村永 文学 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (00325812)
熊本 一朗 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (40225230)
岩穴口 孝 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 助教 (80619198)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 標準看護計画 / 看護・介護連携 / 地域包括ケアシステム / 健康寿命 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本は、諸外国に例を見ない速さで高齢化が進行しており、団塊の世代75歳以上となる2025年以降は、国民の医療や介護の需要がさらに増加することが見込まれている。このため、厚生労働省においては、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)の構築を推進している。 看護や介護のICT化が進む中、生活者としての患者・利用者情報の収集・分析が適切に行え、適切なケアの提供に繋がれば、高齢化進展が著しい我が国において、健康寿命を延ばすなど、国民生活の質向上に貢献できる。本研究は、看護情報と介護情報の連携を前提とした構造化の技法として、それぞれの領域におけるケアセットを作成し、観察と測定、ケア介入に関するテンプレートを開発することである。看護ケア量の測定については、構造化された看護マスタが不可欠であり、研究者らは2007年より看護記録として入力されたケア情報の二次利用によって、ケア提供の見える化を図り、さらにDPCや患者特性と看護ケア量を関連付け、高齢化進展に伴う看護ケアの需要予測などの成果をあげてきた。このように、本研究の核となるケア情報の構造化に関する基盤は整っている。 本研究の最終目標は、看護情報と介護情報の連携を前提とした構造化の技法として、それぞれの領域におけるケアセットを作成し、観察と測定、ケア介入に関するテンプレートを開発することである。また、標準化された看護・介護情報テンプレートをクラウド型ネットワークに実装し、高齢者の暮らしを支える適切なケアの提供に繋がるケア情報の標準化を推進する。さらに、蓄積された情報の二次利用によって、健康寿命の延伸に寄与するケア情報の連携とフィードバック方法を構築していく計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度は、主に高齢者の健康状態の把握、および看護や介護のサービスを受けている状態で収集されている情報の収集、整理、体系化を行う。特に介護情報については、サービス利用者の状態をフリーテキストで入力しており、そのまま収集しても分析が行えない。したがって、地域で生活している高齢者の状態(要支援や要介護になっていない状態⇒要支援⇒要介護)に応じた健康情報、看護情報、介護情報について、連携と分析を可能とするデータの構造化を図っている。具体的には、看護情報は鹿児島大学総合病院情報システムから、継続看護サマリに入力されたデータを抽出し検討した。また、介護情報については、奄美大島南部町村の協力を得て、匿名化された介護情報を抽出し用語の整理を行った。さらに、鹿児島県奄美大島の南部町村の協力を得て、要支援や要介護状態に至っていない高齢者が地域包括支援センターで行われている活動に参加したり、娯楽としてのグランドゴルフ等の活動を行ったりしている実態を調査し、活動の内容と運動機能の評価法について検討した。 研究がやや遅れていると評価した点は、顔認証応用ニコニコ度判定システム(NEC社製)を応用し、高齢者の日常生活満足度の診断と、生活状況や看護・介護ケアとの関係性を検証するという計画であったが、機器の台数を予定通り準備することができず、実施データ収集に至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、奄美大島南部町村の協力を得て実証環境におけるアンケート調査等を通じた情報収集と実証研究の基盤整備を行う。最終的にクラウドとネットワークを介したデータ入力と収集を行い、高齢者の暮らしを支える適切なケアの提供に繋がるケア情報の標準化と、蓄積された情報の二次利用による健康寿命の延伸に寄与するケア情報の連携とフィードバック方法を構築していきたいと考える。 1.奄美大島南部町村の協力を得て、高齢者や家族に対して、高齢者の日常生活全般に関する活動や嗜好についてアンケート調査を行う。また、同居していない家族が高齢者の日常生活について、どのような情報を得たいのか、具体的なニーズ調査を行う。 2.クラウドやインターネットを用いた実験システムを構築し(奄美大島南部町村が取り組もうとしているシステムの一部借用を予定している)、開発したテンプレートを実装して、データ収集、蓄積を行う。顔認証応用ニコニコ度判定システム(NEC社製)によるデータ収集については、再度検討する。 3.本研究で作成しようとしているテンプレートに収載する用語については、一般財団法人医療情報システム開発センター(MEDIS-DC)が公開している用語集をはじめ各学会で作成している標準用語集を参考にして、シソーラスを作成し、入力の際の支援機能として活用できるようにする。あるいは、介護の専門家の意見を取り入れることも必要であると考えている。 4.蓄積されたデータの二次利用についての可能性を検討する。
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Causes of Carryover |
研究成果発表として、ジェノバ(イタリア)で開催されるNursing Informatics(国際看護情報学会に参加する予定であったが、演台申し込みの期限までにまとめることができず、参加できなかった。 2019年度にThe 17th World Congress of Medical and Health Informatics(国際医療情報学会)がフランスのリヨンで、8月25日から30日にかけて開催されるので、参加するための使用計画を立てた。
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