2018 Fiscal Year Research-status Report
アニマルセラピーにおける動物由来感染症起因細菌の網羅的検索
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17K09243
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
村松 康和 酪農学園大学, 獣医学群, 教授 (50254701)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 口腔内細菌叢 |
Outline of Annual Research Achievements |
セラピー犬、及びその飼い主様の口腔内から分離した好気性並びに通性嫌気性細菌については犬由来668菌株、及び人由来803菌株の計1471菌株について、MALDI Biotyperによる菌種同定を行った結果、犬由来菌株では423株が属レベルで同定され、そのうち290株については種レベルで同定された。人由来菌株では774株が属レベルで同定され、そのうち711株については種レベルで同定された。犬と人の双方で認められた菌種はNeisseria flavescens、Staphylococcus epidermidis、Sta. schleiferi、Streptococcus sanguinisなど11菌種で、このうちN. flavescens及びSta. schleiferiの2菌種はセラピー犬とその飼い主のペアで検出された。 セラピー犬、及びその飼い主様の10ペアを選び、次世代シークエンサー(NGS)により得られた菌検出データとBiotyperによる同定結果を比較したところ、犬と人の双方で認められた菌種はAggregatibacter segnis、Peptostreptococcus aerobiusなど22菌種が認められた。また、NGS及びBiotyper双方における好気性並びに通性嫌気性細菌検出頻度に明らかな違いは認められなかった。特に人由来菌株において、近似性が高かった。このことから、Biotyperは人由来菌株だけでなく、動物、少なくとも犬由来菌株の同定においても有用であることが示された。現在、NGSデータについてはさらなる解析を実施中である。 一方、嫌気性細菌については新たに採取したセラピー犬、及びその飼い主様の口腔内から749株を分離菌株として確保した。また、新たに通性嫌気性細菌162株を分離した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
以下の理由により、(3)と判断した。 セラピー犬、及びその飼い主様の口腔内細菌の検索について、好気性並びに通性嫌気性細菌についてはMALDI Biotyperによる菌種同定作業をほぼ完了した。但し、Biotyperが人由来菌株のデータを基に菌種同定を行うことから、犬由来菌株の同定結果については、16S rRNA領域のシークエンスなどによる確認同定を行い(実施中)、より確度の高いデータの収集が必要であること。 セラピー犬、及びその飼い主様の10ペアを選び、双方の口腔内細菌叢について次世代シークエンサーにより得られたデータを解析中であるが、全てを整理できていないこと。 一方、嫌気性細菌については1回目採材分のスワブから菌株の単離が終了し、漸くMALDI Biotyperによる菌種同定作業を開始したところで、菌種同定結果が得られていないこと。
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Strategy for Future Research Activity |
セラピー犬、及びその飼い主様の口腔内細菌の検索について、嫌気性細菌についてMALDI Biotyperによる菌種同定を完了する。 双方の口腔内細菌叢について次世代シークエンサーにより得られたデータを解析 セラピー犬由来の、MALDI Biotyperによる同定菌株について、16S rRNA領域のシークエンス解析による確認同定を行うとともに、可能であれば同種の菌における株レベルでの同定を進める。 研究の主旨を維持しつつ、研究対象については、物理的な処理能力の観点からセラピー犬とその飼い主に焦点を絞ることとした。
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Causes of Carryover |
主に、旅費相当分が余剰となった。この余剰分は31年度の課題遂行課程において、試薬等の刻乳に充当する。
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