2021 Fiscal Year Research-status Report
Risk analysis and management of delayed reactions after autologous blood donation
Project/Area Number |
17K09245
|
Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
鈴木 啓二朗 岩手医科大学, 医学部, 非常勤講師 (30364342)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 自己血輸血 / 自己血採血 / 遅発性副作用 / 血管迷走神経反応 / 患者満足度 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.自己血採血後遅発性副作用(DR)に関する前方視的疫学調査研究 1.1 Blood Donation Reaction Inventory(BDRI)スコアと患者満足度 6段階にスコア化された11の血管迷走神経反応(VVR)関連症状(BDRIスコア)と自己血輸血の満足度(5項目,5段階,満点20点)との関連を昨年度に引き続き解析した.BDRIスコア陽性率に施設間差があること,陽性群では若年(<50歳),循環血液量が多い(≧4,000mL),EPO未投与である割合が有意に高いことを明らかにした.多変量解析ではBDRI陽性には循環血液量が多い(≧4,000mL)ことのみが有意な因子であった(p=0.03, OR3.23, 95%CI 1.13-9.21).満足度に関する各項目(苦痛を感じたか,治療に前向きになれたか,自分の体に自信が持てたか,手術に満足したか,他人にも勧めるか)のスコアに有意な差はなかった. 1.2 自己血採血後2日目の遅発性副作用(DR)と患者満足度に関する調査 10のDR関連症状が6段階スケールが記載されたアンケートを用いた初回採血2日目のDR(DRスコア,満点50点)と臨床パラメータおよび満足度との関連を調査した.2日目のDR発生率は23.7%(31/131名)で,頭痛(22.5%),倦怠感(22.5%),ふらつき(19.4%),立眩み(16.1%),胃部不快感(16.1%)などの症状がみられた.DRスコア陽性群と陰性群で臨床パラメータに差はなかったが,陽性群で満足度のすべての項目で有意に低かった.専任医師・看護師および専用採血室がある施設Aとそれらがない施設B・Cと比べると「採血時の苦痛」,「手術で前向きになれたか」を問う項目でのスコアおよびスコア合計が有意に低かった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
自己血採血後遅発性副作用(DR)の前方指摘疫学調査を2018年度後半から2019年末まで予定していたが登録数が98名(予定250名)であったため,2020年末まで調査期間を延長した.しかし2020年初頭から新型コロナウイルス感染症が全国的に流行し,本研究課題を実施する各施設での貯血式自己血輸血は著しく減少した.予定数には及ばなかったものの131名の登録を得ることができた.また,当初予定した調査結果に基づく遅発性副作用の予防法の開発は研究者及び研究協力者が一同するワークショップで行う予定であったが,新型コロナウイルス感染症の蔓延により対面によるワークショップの開催ができなかった.また当該期間に研究者の異動も重なり,追加登録された患者データの登録作業に時間がかかったため,当初予定されていた研究計画に遅れが生じた.
|
Strategy for Future Research Activity |
当該年度で明らかにした満足度に影響を与えている施設間差の実地調査を行う.またこれまでの結果を研究協力者と共有し,遅発性副作用の防止への取組みを検討する.
|
Causes of Carryover |
当該年度では採血環境や自己血採血に関わる人的要因の実地調査(各施設での訪問調査)を行うことが出来ず,また解析が予定より遅れたため当初予定していた学会発表等が行えなかった.次年度では,新型コロナウイルス感染症の動向をみながらの施設訪問およびオンラインでの面談を活用し,施設間差や遅発性副作用発生の防止に関するを調査研究を行う.当該年度で得た研究成果は次年度に関連学会で発表し,またこれまで得られた研究成果は研究報告書や論文等で公表する予定である。
|