2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K09246
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
加藤 尚子 国際医療福祉大学, 医療福祉学部, 教授 (70294858)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 正英 筑波大学, 医学医療系, 教授 (70334068)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 地域医療連携推進法人 / 地域医療構想 / 私的病院 / 公的病院 / 医療法人 |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウィルス感染拡大で医療提供体制が逼迫し、急性期を担う公的病院の再編統合が停滞する現在、私的病院の再編にはさらなる困難が予想される。2025年の地域医療構想の達成に向けての私的病院の動向を分析するため、医療法人の水平統合の観点から地域医療連携推進法人(以下、連携法人)に着目し、私的病院の地域における位置づけと機能分化・連携への反応を検討した。本研究は、実態調査に基づいて連携法人の参加法人、業務内容、ガバナンスの初期のモデルを構築・吟味し、かつ、制度導入の趣旨にしたがった運営がなされるかどうかを検証することを目的としている。 連携法人という新しい制度の創設から3年間が本研究の研究期間に当たっており、連携法人制度の発展経緯に沿って実態把握のための分析を進めている。研究3年目である2019年度は、連携法人が創設された地域の特性を把握するための調査を行った。具体的には、連携法人5法人を対象として、各連携法人が所在する都道府県と二次医療圏に関する現状把握のための情報収集を行った。さらに、連携法人所在地の地域医療構想調整会議に実際に参加し、関係者に対して聞き取り調査を実施した。 また、連携法人が設立された二次医療圏とその他の医療圏の相違を検証するために、2次医療圏別に医療資源配分の比較分析を行った。さらに、医療資源の機能別配置の変遷を辿るために、縦断的分析を行っている。定量分析は、厚生労働省による医療施設調査・病院報告、患者報告、病床機能報告の病床等に関する公表データを用いて行った。 連携法人の実態分析については、2つの学会で発表し、研究成果を論文として執筆中である。医療資源の機能別配置の分析に関して、研究協力者が論文を執筆し、学会誌に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
連携法人制度創設から3年が経過した現在に至っても連携法人は15法人しか設立されておらず、当初の想定を大幅に下回っている。本研究が当初計画していた悉皆調査等の研究方法も大きく見直しを行う必要が生じ、2018年度から研究計画を再検討し、研究方法を変更した。調査分析の手法も、統計処理からテキストマイニング分析等の質的分析手法を取り入れた解析に変更した。 そのため2019年度は新たな情報収集と分析が終了せず、本研究の最終年度ではあるが研究成果を取りまとめることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の通り研究計画を大きく修正したため、2020年度も引き続き、研究取りまとめの作業を行い、連携法人の創設初期のガバナンスモデルの構築を目指して研究を総括する。補足的な情報収集として、2020年度は新たに、連携法人化を計画しながら断念した、もしくは未だ法人化が実現していない地域の関係者への聞き取り調査を行う予定である。また、2019年度に引き続き、医療資源の機能別配置の変遷を辿る縦断的分析を進める。以上の研究成果をまとめて論文を執筆する。
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Causes of Carryover |
計画当初は悉皆調査等の大がかりな調査を実施する予定であったが、計画を大きく見直す必要が生じたことから個別の聞き取り調査等に切り替えたため、2019年度の調査実施費用の一部が不要となった。その分、調査分析の手法が統計処理からテキストマイニング分析等の質的分析手法を取り入れた解析に変更となったため、調査終了後の人的作業が多くなり、人件費が多く発生することになった。この作業は現在継続中であり、2020年度まで延期して分析作業を進める必要がある。そのため、次年度の使用額が発生した。
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