2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K09257
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
倉田 真由美 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (50378444)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 医師 / 医療 / 信頼 / 不信 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は医療並びに医師に対するマクロな社会的“信頼”とパーソナルなレベルでのミクロの“信頼”について,統計解析及び社会心理・哲学的見識から信頼のメカニズムを分析し,概念構造の可視化を試み,信頼醸成のための方策を医療現場並びに医学教育に携わる医療者に還元・普及するまでを目標としている. 平成29年度は本調査研究に不可欠な信頼の分析枠組み及び概念枠組みについて検討を進めるとともに,医療・医師への信頼を取り戻すための過去の様々な取り組みについて検証を行い,また逆に医療の信頼を損なうよう事案で社会的問題として浮上したものについて事実関係を網羅的に精査し,社会が医療に対して信頼感や不信感を抱くまでの社会的認知構造の解明を目的に取り組んだ.具体的には,①医療・医師に対する信頼に関するテキストデータを集積し,信頼感や不信感を抱く要素の抽出する.②次年度以降の社会調査並びに,ヒアリング調査において必要な設問事項を抽出のうえ確定する.③各インフォーマントへの聞き取り対象者のリクルートを29年度予定していた。①の医療・医師に対する信頼の社会的認知構造の解明にかかる,テキストデータの集積は現在集積中であり,今後は学術論文のみならずマスメディアの報道等にも対象を広げ,当該テキストデータの収集を検討している.②③についてはデータの集積作業とともに並走して実施している. 最終的には,各調査結果より,医療・医師に対する信頼の規定因を抽出のうえ,社会が医療に対して信頼感や不信感を抱く社会的認知構造概念のモデル化を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度は本調査研究に不可欠な信頼の分析枠組み及び概念枠組みを検討するにおいて,非常に重要な,医療・医師への信頼を取り戻すための過去の様々な取り組みについて検証を行い,また逆に医療の信頼を損なうよう事案で社会的問題として浮上したものについて事実関係を網羅的に精査し,社会が医療に対して信頼感や不信感を抱くまでの社会的認知構造の解明を目的に取り組んだ.医療・医師に対する信頼の社会的認知構造の解明にかかる,テキストデータの集積は現在集積中であり,対象の範囲を拡大したこともあり,やや遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進の方策について,平成30年・31年度は以下を計画している. ①社会調査;社会調査はインターネットを用いた電子的調査情報収集法を予定.この社会調査は次年度に実施予定のヒアリング調査を見据えた予備調査として位置づけて実施を予定している.②ヒアリング調査;本研究の目的に合致した医師をリストアップする.適正なケースについて調査対象となりうる候補者とコンタクトを取り調査の主旨を説明し承諾を得る.③共分散構造分析を用いた信頼の規定因の検討;実態調査で得られた知見を参照しながら因果関係の仮設をたて潜在変数を導入し,共分散分析により医療・医師への信頼の規定因を析出し医療と医師への信頼の構造のモデル化を試みる.④社会心理・社会哲学的見識からの検討;共分散分析の結果及び聞き取り調査の結果をもとに,さらに社会心理・哲学的視座から信頼の規定因を検討のうえ特定し,概念構造を整理する.この際,関連領域の有識者に意見を仰ぎ正確な概念構造モデルが構築できるように努める.
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Causes of Carryover |
医療・医師に対する信頼の社会的認知構造の解明にかかる,テキストデータの集積作業に時間を要したため,社会調査並びにヒアリング調査のリクルート作業まで進めることが出来ず当初計画していた予算を繰り越すこととなった.
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