2017 Fiscal Year Research-status Report
“自殺の木”その科学的解明 -犯罪死見逃し防止のために-
Project/Area Number |
17K09260
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
臼井 聖尊 東北大学, 医学系研究科, 講師 (80567884)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 友嗣 岩手医科大学, 医学部, 助教 (50721974)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | オオミフクラギ / ミフクラギ / Cerbera odollam / Cerbera manghas / Cerberin / 強心配糖体 |
Outline of Annual Research Achievements |
オオミフクラギ(Cerbera odollam)は強力な毒成分を含んでいるが,法医学者や法中毒学者の認知率は高いとは言えず,またその有毒成分の全容,動態データ,生体試料からの検出方法など科学的データの蓄積も充分とは言えない. 一方で本植物の種子は容易に入手できる状態であり,既に海外では他殺に利用されているとの指摘もあるが,現状ではその立証は困難な状況である.本研究の目的は,この植物に関する科学的データの取得及び生体試料からの分析法を開発し,法医学における実用的な摂取証明法を確立することである. 本年度は,最初に対象植物に含まれる強心配糖体類,cerberin, neriifolin, および tanghininの標準品を用いて,高速液体クロマトグラフ-タンデム型高分解能質量分析装置 (LC-QTOF-MS) による分離・検出法を構築し,各化合物のプロダクトイオンスペクトルを取得した.次にCerbera odollam の種子を入手し,その仁の一部をエタノールにより抽出したものをLC-QTOF-MSにて直接分析した.その結果,エタノール抽出物からcerberin, neriifolin, および tanghininと同一のプロダクトイオンスペクトルを持つピークが検出された.またLC-QTOF-MSによる網羅的解析から,これら化合物に由来するdiglycosides, triglycosides および tetraglycosides と考えられるピークが得られたほか,diacetyl-form, dehydro-form など関連化合物と考えられるプロダクトイオンスペクトルも検出された.これらの化合物は法医学における摂取証明に役立つ可能性があると考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は強心配糖体類の標準品を用いて,LC-QTOF-MSによる分離・検出法を構築することができた.また種子(仁)の抽出液をLC-QTOF-MSにより直接分析したところ,cerberin, neriifolin, および tanghininと同一のプロダクトイオンスペクトルを持つピークを検出することができた.さらに網羅的なスペクトル解析から,diglycosides,triglycosides,tetraglycosides や関連化合物と考えられるプロダクトイオンスペクトルも検出でき,摂取証明に役立つと思われる化合物の存在を明らかにすることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、生体試料(血清および尿)からの抽出方法を検討する.さらに開発した測定・抽出法に関しては,ガイドラインに沿ってバリデーション作業を実施する予定である.具体的には,特異性,検量線の直線性,安定性,真度,再現性,回収率およびマトリックス効果などについて評価を行なう予定である.
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Research Products
(9 results)