2018 Fiscal Year Research-status Report
“自殺の木”その科学的解明 -犯罪死見逃し防止のために-
Project/Area Number |
17K09260
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
臼井 聖尊 東北大学, 医学系研究科, 講師 (80567884)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 友嗣 岩手医科大学, 医学部, 講師 (50721974)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | オオミフクラギ / Cerbera ordollam / ミフクラギ / Cerbera Manghas / Cerberin / 強心配糖体類 |
Outline of Annual Research Achievements |
強力な毒成分をもつ植物の一つに“自殺の木 Suicide Tree”がある.インドから東南アジアにかけて分布しているCerbera ordollam(和名:オオミフクラギ)の別名である.これらの植物は強力な毒成分を含んでいるため,自殺あるいは他殺に利用される危険性があるが,現状では信頼性のある分析法は無く,また生体内での挙動に関しても不明な点が多い.日本にも,その近縁種であるCerbera Manghas (和名:ミフクラギ,沖縄キョウチクトウ)が奄美大島以南の南西諸島に分布している.本研究の目的は,これらの植物に関する科学的データの取得及び生体試料からの分析法を開発し,法医学における実用的な摂取証明法を確立することである.昨年度はCerbera ordollam の種子に含まれる強心配糖体類について検討を行ないcerberin, neriifolin, および tanghininなどを検出すると同時に、これら化合物に由来するdiglycosides, triglycosides および tetraglycosides と考えられる化合物を検出した。本年度は、沖縄に分布しているCerbera Manghas を対象として研究を行った。Cerbera Manghas の葉,種子,花,枝については,管理者の許可を得て採取を行ない採取場所等を記録した.採取した試料は凍結乾燥した後,測定まで室温で保管した.各試料をエタノールで抽出した後,昨年度に構築した高速液体クロマトグラフ(LC)-高分解能質量分析計(Q-TOF)を用いた強心配糖体類の分析法により測定・解析を行なった。その結果,Cerbera ordollam と同様な強心配糖体類を検出することができた.今後は各試料中の強心配糖体類の含有量を明らかにしていく予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は, 琉球大学熱帯生物圏研究センターの協力を得て採取したCerbera Manghas の葉,種子,花,枝を用いて研究を行なった.昨年度に構築したLC-QTOF-MSによる分離・検出法を用いてCerbera Manghas の試料について,その抽出液を分析した. その結果,Cerbera ordollam 中に含まれる有毒成分と同様な化合物を検出することができた.またプロダクトイオンスペクトル解析から強心配糖体成分に共通するスペクトルパターンの一部を明らかにすることができ, 有毒成分の探索に役立つと考えられた.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、Cerbera Manghas の葉,種子,花,枝に含まれる強心配糖体類の含有量を明らかにするとともに、生体試料(血清および尿)からの抽出方法を検討し、バリデーション作業を実施した後,実際の事例に応用していく予定である.
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Causes of Carryover |
購入を予定していた試薬が輸入品であり入手までに時間を要したため。そのため、次年度に当該試薬を購入する。
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