2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of an exctraction for water soluble drugs in forensic samples
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17K09264
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
奈女良 昭 広島大学, 医歯薬保健学研究科(医), 准教授 (30284186)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 法中毒 / 分析化学 / 薬毒物 / 前処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、薬物抽出素材として新たに開発したモノリスシリカ(Monolithic Silica)を活用し、親水性相互作用クロマトグラフィー(HILIC)分離モードによる法医鑑定試料からの水溶性薬物の抽出・分析法の確立を目的とする。本年度は、以下3項目について重点的に検討を行い、水溶性薬毒物の保持機構の解明を行った。 1)水溶性薬毒物の保持に適した官能基の検討:近年、除タンパク・除脂質機能を持つ固相抽出基剤が注目を集めている。この基剤にアプライするには、HILICと同様にアセトニトリルリッチにする必要があることから、この基剤での薬物抽出挙動も検討した。5種類の製品で検討した結果、製品ごとの抽出効率に差が見られた。モルヒネ系麻薬(モルヒネなど)、β-拮抗薬(アテノロールなど)、解熱鎮痛剤(アセトアミノフェン)は問題なく保持されたが、抗生物質(セフトリアキソン)やプロピオン酸系解熱剤の保持は弱かった。 2)モノリスシリカの骨格径と細孔経の検討: 5 micro-mと20 micro-mを作成し、回収率などを検討した結果、骨格系を大きくすると通液は良くなるものの回収率が低下する傾向が確認された。回収率は基剤表面積に依存すると想定されることから、細孔径を小さくして表面積を広くした結果、回収率の上昇が確認できた。 3)スピンカラムに適した流速、洗浄溶媒の検討:薬物抽出の効率は、モノリスシリカとの接触速度(カラム中の流速)に依存するが、マニュアルでコントロールするのは困難である。そこで本研究では、回転速度を調整することで流速調整可能な遠心分離器を活用した。900~10000rpmに回転数を変化させて通液に要する時間を検討した結果、骨格系の大きさに依存して流速が上昇した。遠心分離に要する時間は、本手法の迅速性を考慮して2分を最大の遠心時間として設定し、回転数を3000rpmとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね予想通りの結果が得られているが、一部、水溶性の高い薬物について、抽出効率が予想に反して低いものがあることが判明した。
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Strategy for Future Research Activity |
水溶性薬毒物の系統的分析法を確立するとともに、再現性の向上をはかりながら改良を加え、実試料での検証を行う。そのために、下記の検討を行う。 1)系統的一斉抽出を可能とする官能基の検討と最適化:抗生物質(セフトリアキソン)、筋弛緩剤(パンクロニウム)、モルヒネ系麻薬(モルヒネ)、β-拮抗薬(アテノロール)、解熱鎮痛剤(アセトアミノフェン)、海産毒素(テトロドトキシン)との吸着特性や選択性向上を検討し、一斉抽出に適した官能基の選択や抽出条件を検索する。検討条件の評価には、上記薬物の回収率やクロマトグラム上の内因性および妨害成分の程度などを指標とする。
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