2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K09272
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
井戸田 望 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20722870)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池谷 博 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30292874)
新谷 香 (石田香) 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50345047)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ラマン分光法 / 心臓突然死 / 心筋梗塞 |
Outline of Annual Research Achievements |
心臓突然死の多くは急性心筋梗塞などによる虚血性心疾患が原因であるが、凝固壊死や炎症細胞浸潤など明らかな病理組織学的変化が生じる前の超急性期に死亡し、死亡直前の臨床症状や心電図等の検査所見がない場合、法医解剖を行っても心臓突然死と診断することは困難である。近年、非破壊解析が可能なラマン分光器を心筋虚血をはじめとした医療分野に用いることが期待されている。本研究はラットの心筋梗塞モデルを用い、高精度ラマン分光法を用いて、虚血心筋細胞内で生じている分子レベルの物質の質的・量的変化を捉えることを目的としている。 SDラットオス8週齢のラットを用いた。経静脈的全身麻酔、人工呼吸器下で左冠状動脈を結紮し15分後にエバンスブルーを注入し摘出した心臓を梗塞モデルとし、冠状動脈の結紮なく開胸のみで15分後に摘出した心臓をコントロールとした。また、死後経過モデルとして、左冠動脈を結紮し15分後にラットを頚椎脱臼により屠殺し、直ちに閉胸し静置、1日後に摘出した心臓を死後経過1日の梗塞モデルとし、冠状動脈結紮なく開胸15分後に頚椎脱臼により屠殺し、直ちに閉胸し静置、1日後に摘出した心臓を死後経過1日のコントロールモデルとした。各心室の横断面から、エバンスブルー非染色部(虚血部)を5か所、同じ部位をコントロール心臓から5か所取り出し、Pezzotti研究所で各組織をラマン分光測定した。現在、各モデル心臓のラマン測定結果を、Pezzotti研究所で解析途中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
1.ラット心筋梗塞モデルを安定して作成するのに時間がかかった。 2・9月からPezzotti研究所でラマン分光測定を行っているが、11月、3月の2回にわたり機器の不調により測定できない期間があった。
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Strategy for Future Research Activity |
1.15分の心筋梗塞モデルで、心筋細胞内の物質の変化が捉えられなければ、心筋梗塞の時間を長くするなどの方針。 2.死後経過1日の心筋梗塞モデルで心筋細胞内の物質の変化を依然捉えられるならば、何日まで捉えることができるか、死後経過時間を延ばしていく方針。逆に、1日以内で物質の変化が捉えられなくなるのであれば、死後何時間までなら捉えることができるのか、死後経過時間を短くしていく方針。 3.心筋細胞内の物質の変化が捉えられたら、免疫組織染色や蛋白質解析などの別の方法によっても同様の結果が得られるかどうか確認を行う。
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Causes of Carryover |
1.ラットの心筋梗塞モデルを作成するにあたり、動物実験用の人工呼吸器を購入する予定であったが、他の研究者が行っていた動物実験が一段落して人工呼吸器を使用することができ、新たな機器を購入する必要がなくなった。 2.ラマン分光器の不具合によって測定および測定結果の解析が遅れており、条件設定を変えた次の実験に移れないこと。
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