2018 Fiscal Year Research-status Report
DNAマイクロアレイで得た低体温症マーカ―候補の免疫組織化学的な法医実務応用
Project/Area Number |
17K09275
|
Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
高宮 正隆 岩手医科大学, 医学部, 講師 (30364334)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三枝 聖 岩手医科大学, 教養教育センター, 講師 (30398490)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 低体温症 / DNA microarray法 / 免疫組織化学 / 対応分析 / 法医解剖 |
Outline of Annual Research Achievements |
[目的・方法] 本研究では平成24~28年度にマウス低体温症モデルのDNAマイクロアレイ解析で抽出された低体温症マーカー候補について、ヒト剖検例組織での発現動態を免疫組織化学的に検索し、実務応用の可能性を検討する。これまでに基礎的検討としてマウス低体温症モデルを用いて、心筋、肺、肝臓、副腎、腎臓のDNAマイクロアレイ解析を行い、各臓器4万遺伝子、計20万遺伝子の発現動態を得て低体温症マーカー候補を抽出している。これらマーカー候補の法医実務応用を目指す。平成30年度はマウス低体温症モデルにおける心筋、肺、肝臓、副腎、腎臓のDNA マイクロアレイデータを対応分析することにより、各臓器と各遺伝子の相関関係に関する考察を引き続き行った。さらに低体温症と診断された剖検例を用い窒息例をコントロールとして、ヒト組織における低体温症マーカー候補の発現動態を免疫組織化学的に検討した。 [結果] 心筋、肺、肝臓、副腎、腎臓のDNA マイクロアレイデータを用いた対応分析では、各組織と各遺伝子の距離を計算することで各組織に近接する遺伝子を抽出し、低体温症における心筋、肺、肝臓、副腎、腎臓それぞれを特徴づける遺伝子を明らかにした。また心筋、肺、肝臓、副腎、腎臓からの距離に応じてグループを作成し、これにpathway解析、GO解析を適用した。なおヒト剖検例組織の免疫組織化学的検討では各症例の発見時の状況、剖検所見を詳細に検討した。さらに免疫染色に向け低体温症例、窒息例の心筋、肺、肝臓、副腎、腎臓組織の薄切を作成するとともにHE染色を施行しており、この作業を継続中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
元の研究計画では平成30年度にヒト免疫組織標本の作成を行い、平成31年度に標本の解析を行う予定であったが、今もなお組織薄切を続けている状況にある。組織薄切は手作業で行うこともあり急速な進展が望めない。平成30年度は薄切に多くの時間を投じたが、若干の症例が平成31年度に持越しとなった。なお持越しとなった症例は少なく、平成31年度も免疫組織標本の作成に十分な時間が確保できる状況にあり、研究の遅れは回復できると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
ヒト心筋、肺、肝臓、副腎、腎臓の免疫組織化学を施行し組織標本の作製を急ぐ。次いで組織標本の解析を行い、各臓器における低体温症マーカー候補の発現動態を確認し、発現の再現性、また実務に応用可能か検討する。さらに各検体の性別、年齢、死後経過時間など因子を考慮に入れ、具体的な低体温症鑑定法の構築を試みる。
|
Causes of Carryover |
平成30年度は組織薄切に遅れが出たため、抗体等を中心とする試薬代の支払いが少なくなった。平成31年度は免疫組織化学実験で多額の試薬代が必要となること、また実験直前の試薬の購入が望ましい、すなわち平成30年度購入の試薬の平成31年度の使用は実験エラーの原因となる可能性が高く、平成30年度の研究費の一部を平成31年度へ繰り越す判断をした。平成31年度はヒト心筋、肺、肝臓、副腎、腎臓の免疫組織化学を遂行する予定である。 これまでDNAマイクロアレイでの検討で多くの低体温症マーカー候補を検出しており、抗体の種類も多岐に渡ると考えられる。平成31年度は免疫組織染色用の抗体、試薬に研究費の多くを使用する予定である。
|
Research Products
(3 results)