2018 Fiscal Year Research-status Report
Correlation between changes in the age of the heart and sudden death during bathing of the elderly
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17K09277
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
佐藤 文子 北里大学, 医学部, 教授 (70328128)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入江 渉 北里大学, 医学部, 助教 (80597352)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 入浴中の急死 / 剖検 / 心房細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
発症頻度が高く、加齢により発症頻度が上昇する疾患の一つに、心房細動がある。心房細動は、心房筋の再構築(リモデリング)が関与しているとされている。また、心臓の交感神経、迷走神経の基礎活動の亢進で心房細動が発生することが報告されている。入浴時に静水圧による静脈還流量の増加により血圧上昇、心拍数上昇が起こった際に、心房細動が発生し、意識消失をきたし、浴槽内で溺没し、死亡する可能性があると考え、研究を行った。 平成20年1月から29年12月の10年間で北里大学医学部法医学で施行された入浴中の急死剖検例(B群)15例、対照症例(C群)23例を対象とした。4本の肺静脈のMyocardial Sleeveについて、HE、Azan-Mallory染色標本、抗Tyrosine hydroxylase抗体と抗S-100抗体にて免疫組織化学的検討を施行。TH陽性/S-100陽性はアドレナリン作動性線維、TH陰性/S-100陽性は非アドレナリン作動性線維と判断し、各神経線維の数を100倍で20視野鏡検して計測し、半定量化した。統計学的有意差はStudent T-testにてp<0.01を有意差ありとした。左上、左下、右上、右下肺静脈におけるMyocardial sleeve のアドレナリン作動性線維及び非アドレナリン作動性線維の平均は、B群[16.7,11.9,16.1,12.1],[23.1,39.8,23.1,20.6]、C群[14.4,15.6,12.1,12.3],[24.1,17.7,18.9,17.6]であった。B群で左下肺静脈の非アドレナリン作動性線維の数が統計学的有意差をもって多く認められた(p<0.01)。我々の研究では、入浴中の急死例では、肺静脈のmyocardial sleeveにおいて、アドレナリン作動性線維が対照例と比較して、統計学的有意差を持って上昇していたとは言えず、入浴中の急死と心房細動の発生に関しては、関連性は否定的であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
入浴中の急死例と心臓疾患を有さない高齢者の剖検例(対象例)の、心臓の左心房のmyocardial sleeve についてパラフィンブロックを作成した。抗Tyrosine hydroxylase抗体と抗S-100抗体を一次抗体に免疫染色を行い、免疫染色を施行した。 今後は、myocardial sleeve の免疫染色を施行する対象例を若年者から高齢者まで幅を広げて検討を行う予定である。この検討は来年度、施行する予定である。進捗状況は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年、本年に収集した心臓疾患のない症例の心臓の肺静脈と左房の境界部のmyocardial sleeveについて、抗Tyrosine hydroxylase抗体と抗S-100抗体を一次抗体に用いて免疫染色を行う予定である。加齢によるアドレナリン作動性線維と非アドレナリン作動性線維の分布の変化について検討する予定である。 心臓性突然死例、心臓疾患のない対象例(20歳代から90歳代について10例ずつ)について、加齢性変化(大動脈弁石灰化、心筋内のリポフスチン顆粒沈着、Basophilic degeneration、心筋の核の大小不同、血管周囲の線維化)の発現程度を心臓左室壁のパラフィンブロックを薄切し、HE、PAS、Azan-Mallory染色を施行し、鏡検し発生頻度を比較する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度に更に免疫染色用の抗体などを購入する予定があるため。
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Research Products
(2 results)