2017 Fiscal Year Research-status Report
レプチンおよび胸腺間質性リンパ球新生因子を介した胸腺のストレス応答の解明
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17K09280
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
阿部 俊太郎 大阪医科大学, 医学部, 講師 (80335116)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 胸腺 / レプチン / 児童虐待 / 胸腺間質性リンパ球新生因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
TuD-1細胞株(ラット胸腺髄質上皮細胞由来。JCRB細胞バンク細胞番号:IFO50152)を用いて実験条件の検討を行った。グルココルチコイド(GC)添加群,レプチン+GC添加群,レプチン添加群および対照群を作成するにあたり,添加試薬(GCおよびレプチン)の濃度,組み合わせおよび培養期間などについて,各群での培養細胞の増殖の差が大きく,これらを調整するために各種の条件を検討した。その結果,条件検討にやや時間を要した。 検討結果に即してGC単独添加群,レプチン+GC添加群,レプチン単独添加群と対照群として無添加群を作成した。各群における胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)の発現量をELISA法を用いて経時的に測定した。同時にTSLP mRNAの発現量を定量的RT-PCR法を用いて計測した。これらの結果については現在解析を実施している。 上記と平行して,法医剖検例における胸腺試料を収集し,これらに免疫染色を実施して,胸腺髄質および胸腺皮質中のレプチンレセプターを発現する胸腺上皮細胞(Leptin Receptor expressing Thymic Epithelial Cells; LR-TECs)を同定した。胸腺ハッサル小体外周を構成する細胞はほぼすべてがレプチンレセプターを発現しており,胸腺ハッサル小体におけるTSLPとLR-TECsの強い関連を疑わせた。胸腺皮質におけるレプチンレセプター発現細胞数を計測したところ,ストレス群では非ストレス群と比較して有意に発現数が減少していた。 これらの成果の一部については国際学会および英語論文の形式ですでに発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初平成29年度中に実施する予定であった項目について,培養細胞を用いた系では条件検討に時間を要したものの,ヒト胸腺試料を用いた解析では一部をすでに着手しており,軽度な遅れがあるものの,おおむね順調に進捗していると考えられる。成果の一部についてはすでに公表している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定されていた研究計画に従って,研究を進めていく予定である。具体的にはTuD-1細胞株を用いた系でのフローサイトメトリーによる検討,ストレスモデルマウスを用いた動物実験の実施を予定している。
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Causes of Carryover |
初年度の研究については,試薬類・消耗品の多くをすでに保有していたものでまかなった。このため,本年度の使用額が当初の予定よりも少なくなった。次年度以降は使用した試薬類.消耗品の多くを補充する必要があり,さらに動物実験を合わせて行うことから,多くの経費が必要になると考えられ,当初の使用予定額との差は解消するものと思われる。
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