2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of the forensic methylation panel to estimate the physical stress, age and body fluid type
Project/Area Number |
17K09281
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
橋谷田 真樹 関西医科大学, 医学部, 准教授 (40374938)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | DNAメチル化解析 / 心臓突然死 / 心筋 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までは,ゲノムのメチル化解析により年齢推定の研究を行い,成果を上げてきた.今年度はラットを用いて動物実験によるストレスのメチル化解析マーカーの探索を行う予定であった.これは解剖時に肉眼的所見の乏しい例において,メチル化マーカーを元に死因判断の一助とするためである.ストレスマーカーとしてのメチル化解析部位は今のところ特定されておらず,それはラットもヒトも同様である.そこで,動物実験よりも直接解剖で得られた心臓試料を用いてメチル化マーカーの探索を行うこととした.当講座にて解剖に付された突然死例のうち,3例の乳幼児突然死例(4M男児,4M女児,20M男児)と心筋炎1例(2M),窒息1例(1M),ダウン症候群1例(2M),そして若年性突然死1例(15歳)の7例に加え,比較対象として脳内出血1例(57歳)の解析を行った.それぞれの心筋中隔からゲノムDNAを抽出し,バイサルファイト処理を行い試料とした.メチル化解析部位が特定されていないため,全ゲノム上に存在する86万のメチル化サイトの網羅的解析を,Infinium MethylationEPIC BeadChip Kit および iSCAN sytem (Illumina)により行った,最初の乳幼児突然死3例群とそれぞれ死因が異なる例との間でメチル化率の比較を行い,心筋のメチル化率の増減を比較したところ,突然死例と心筋炎例との間ではHLAに関連するサイトのメチル化率に違いが観察された.また,若年性例との比較ではエイジングに関連があるメチル化部位に違いが見られ,メチル化率の変異は年齢も含め病理的な状況を反映しているようであった.全ての例間でATP10A遺伝子の変化が観察されており,この遺伝子はATPアーゼをコードしているものの一つで,細胞内でのタンパク質の分解,プロッセッシング,情報伝達などに関与しているとの報告がある.
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