2018 Fiscal Year Research-status Report
ハプトグロビンは頭蓋内出血後の合併症及び予後の予測因子になりうるか
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17K09283
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
神田 芳郎 久留米大学, 医学部, 教授 (90231307)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
副島 美貴子 久留米大学, 医学部, 講師 (80279140)
青木 孝親 久留米大学, 医学部, 講師 (70330842) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ハプトグロビン / くも膜下出血 / 予後予測 / 遺伝子多型 / Zonulin |
Outline of Annual Research Achievements |
ハプトグロビン(HP)は血清蛋白であり、溶血で生じた遊離ヘモグロビンと結合し、その酸化障害作用を中和する。HPのcommon多型と、くも膜下出血後の血管攣縮や予後の間には集団を越えて関連が認められている。 一方、脳虚血病態における脳浮腫や二次損傷は発症後数時間から数日を経て進行するため、治療介入の時間的余裕があることから、血管脳関門(blood-brain barrier, BBB)は急性期治療の有効な標的となり得るため、治療法を開発する上でBBB機能のマーカーは重要である。BBBには、中枢神経系にとって有害な血液中の物質の通過を遮断し、必要な物質を血液から取り込み、さらに不要な物質を血液に排出する機能を有するが、小腸上皮のタイトジャンクション構成分子であるHP2の前駆体であるZonulinとその受容体が、BBBにも発現していることが分かっている。しかし、遅発性脳虚血におけるBBB傷害へのZonulinの関与についてはほとんど理解されていない。 そこで、今年度は、Zonulinの発現が本当にHP2-2型とHP2-1型に限られ、HP1型では発現していないのか、さらに、くも膜下出血をきたした患者群の予後と、髄液中のZonulin濃度との間に関連があるのかを調べるための予備実験として、市販のELISAキットを用い、血清中のZonulin濃度を定量した。その結果、低濃度ではあるもののHP1型の血清中にもZonulinが存在することが示唆された。別の市販のELISAシステムがZonulinを認識していないという報告も存在することから、今後Zonulinの定量システムの構築をおこない、HP多型との関係、さらに予後との関係を調べる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
使用した市販のELISAキットがターゲットを特異的に認識していないのか、あるいは、そもそも多型による差異が存在しないのか現時点では判然としないものの、多型により有無がはっきりとしているはずのZonulinが、多型によらず血清中に存在することが示唆されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
ウェスタンブロット法等により、HP多型間でのZonulin分子の発現の相違を確認する。その後、定量システムを構築し、予後との関連を調べる。
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Causes of Carryover |
市販定量システムを用いた定量検査で、多型間であると予想していた差異がなかったこと等により遅延が生じ次年度使用が生じた。次年度では、さまざまな抗体を購入し、特異的な抗体を選定、定量システクを構築する。
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Research Products
(8 results)